2006年 4月 4日 (火) 

       

■  〈英語ってどうなってんの?〉106 成田浩 あっ、屋根から雪が落ちる

 時の流れを言葉で表すしくみ(時制)は日本語と英語ではかなり違うことが分かってきたところで、ちょっと考えてみたいことがあります。現在だの未来だの過去だのというけれど、言語の世界ではこれをどう考えているのでしょう。

  それは1回1回の個々の発話時点
(the point of speech)を基準として、ある出来事がそれと同時に起こったのなら「現在」、それより以前だったら「過去」、以後なら「未来」として表します。

  ある人(ある話し手)が「あっ、屋根から雪が落ちる」と言ったとしましょう。この発言と同時に落雪という出来事が起こっているのが現在形です。

  発話時より以前に落雪という出来事が起こっていたのなら、これを過ぎた事ととらえ過去形で「雪が落ちた」とします。発話時点ではまだ落雪という出来事が起こっていないけれどもそれが予想される場合なら、「落ちるだろう」という未来形(推量)にします。

  単純化すればそういうことになるのですが、「〜する」とか「〜した」とかが英語の時間表現のシステム(am, is, are, was, were, 〜ed, be+〜ing,などなど)と対応しないということが納得を困難にしているのです。

  しかし、それらに関しては英語もスッキリとは割り切れず「アバウト」なところがあるので場面や状況によってふさわしい言い方をネーティブに確かめることが多いのです。特に、未来の言い方は微妙です。

  例えば、「あなたはどこへ行くの?」にしても、相手が大きな旅行カバンを持っていればWhere are you going?(どこに行くところですか?)がいいでしょう。それは明らかに現在相手の行動予定が決まっていることが見てとれるからです。

  ところが、「どこか遠くに行きたいわ」などと、予定も決まっていない漠然とした未来のことを言っている相手だったら、Where will you go?「どこに行きたいって言うの?」といった具合です。
(言語人文学会会長)
  

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