2006年 4月 4日 (火) 

       

■  〈夜空に夢見る星めぐり〉153 八木淳一郎 勇姿オリオンに思う

 オリオン座といえば冬の星座の代表であるばかりか、誰もが知っている星座の代表といってもいいでしょう。春まだ浅い今の時期、西の夕空にいまなお雄大な姿を見せてくれています。

  オリオン座は大きくて形の整った星座である上に、1等星が二つもあります。勇士オリオンの右脚(星座絵によっては左脚)に位置する青白い色をしたリゲルと、わきの下という意味を持つ赤い色のベテルギウス。この二つの1等星は位置、色の対比、ともに絶妙で、さすがはオリオン、と眺めるたびに感心させられます。

  さて、その1等星の一つベテルギウスは、昨年暮れから明るさが明るくなってきていると報告されています。過去には、1933年と1942年に1等級ほど明るくなったことが記録されています。ベテルギウスは明るさの変わる変光星として知られてはいますが、その周期が一定しておらず、全く予測がつきません。こういった星はほかにもたくさんあって、多くは生涯を終えようとしている星と考えられています。ベテルギウスは直径が実に太陽の5百倍から一千倍もある巨大な星で、しかもこのように膨らんだり縮んだり大きさが不安定で、それにつれて明るさも変化するという訳です。そして、そう遠くない将来、ベテルギウスは超新星爆発を起こすと考えられていますが、わたしたちとの距離は5百光年という近さです。

  そうなれば、当然大量の放射線が地球に降り注ぎ、地球上の生命は脅威にさらされることになります。

  ベテルギウスの例に限らず、生命維持の根源である太陽の輝きにも突然の異変が起こることもあるかもしれませんし、彗星(すいせい)や小惑星といった小天体の衝突の危機はもっと現実的です。知る人は少ないですが、世界中に設置されたたくさんの専門の天文台が日夜観測し監視し続けています。

  地球が人類のためにあるのか、さらには太陽系、そして宇宙の未来はどうなのか、天文学が少しずつその答えを導き出してくれるでしょう。

  その答えは人類の歴史は案外あっけないもの、といったものかもしれません。仮にそうあったとしても、ヒトが、政治などさまざまな権力や宗教・思想の組織を作り出し、その世界に君臨したり暗躍したりする事象と対峙(たいじ)する天文学は、人類に品格を与えるという一点だけをみても、わたしたち人間を救うなくてはならないものであるとしみじみ思います。  (盛岡天文同好会会員)  

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