■ 選ばれる大学を目指す 岩手大学が学生支援へ教育総合センターを開設
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岩手大学(平山健一学長)はこの4月、学内に大学教育総合センター(センター長・玉真之介副学長)を開設した。大学の独立行政法人化に合わせ04年4月から設置している大学教育センターの機能を拡充。入学者の戦略的な確保やキャリア教育など、大学の入り口から出口まで一貫した教育活動を全学で推進するため、中心的な役割を果たす。18歳人口は減り続け、だまっていても入学者が集まる時代は終わった。「選ばれる大学」を目指した改革の一つだ。
■学生個々の人間的な成長を支援
教育総合センターは、教育センターが持っていた▽全学共通教育企画・実施▽教育評価・改善▽専門教育関係連絡調整−の3部門に▽入試▽学生生活支援▽就職支援−を加え6部門で組織する。
従来の教育センターは、各部の連携による教養科目の企画調整や講義の評価など教育内容の改善に役割が特化していたが、教育総合センターは入学から卒業まで「丸ごと面倒を見る機関」。受験生の獲得や卒業後の進路に向けた学生の職業意識の醸成などにも目配り。全学で学生個々の人間的な成長を支援する体制を敷く。
スタッフには入試の現状に詳しい大手予備校の職員や都立高校教諭の経験者も加え、現場で培われたプロの目線を改革に生かす環境を整えた。
センターの新年度の取り組みの柱は▽入学前教育▽キャリア教育▽学生生活支援−の三つ。
入学前教育は推薦合格が決まった高校生らを対象にした教育で、合格後もレポートを課すなど大学の講義にスムーズについていけるようサポートする。岩手大は入学者の約2割、200人ほどが推薦合格で入学しているが、例年、推薦合格者の発表は10月末。中には一般の受験生が学力を伸ばす時期に力を蓄えられない生徒もいるという。きめ細かい取り組みは、大学を選んでもらう際のアピールポイントにもなる。
キャリア教育ではジョブ・カフェいわてのキャリアカウンセラーや各界で活躍する卒業生らを講師にした講座を開設。職業意識を身に付け、キャリアビジョンを描ける学生を育てることが狙いだ。
さらに学内でのインターンシップやボランティアの場の提供などを通じて学生の公共性や倫理感を育成。社会活動やボランティアを単位化することも検討し、総合的な判断力や豊かな人間性を備えた人材育成を目指す。
■大学の個性を明確に
入学から卒業まで手厚い教育環境を整備する背景には、少子化に対応しなければならない大学側の切羽詰まった事情がある。
文部省の統計によると、05年度136万人だった18歳人口は、09年度には121万人まで減少。以後、20年度まで120万人前後で推移する。大学志願者数も05年度の79万人から09年度には67万人まで減少し、選り好みしなければ志願者全員が入学できる計算になるという。
受験生に対しても、学生が就職する民間企業に対しても、どんな特色のある教育をしているか示せなくては大学は選ばれない。全国の大学が生き残りを懸けて改革に取り組んでいる。
玉センター長は「大学が置かれている環境は厳しい。岩手大学の個性を明確にし、いかに、それを知らせるか。自分たちの良さをアピールしていくことの重要性を全学に感じてもらう必要がある」と話す。
■魅力ある人材を育てる
4月10日に岩手大学大学教育総合センターの開設を記念した講演会が同大附属図書館で開かれた。講師の 荻上紘一・大学評価・学位授与機構教授は「地方大学はオンリーワンを目指し個性や特色で勝負しなければならない」と力を込めた。
06年度入試の岩手大の志願者は3047人。前年度を64人ほど上回った。しかし、受験科目を増やした工学部は7学科のうち4学科が定員割れ。二次募集で学生を確保している。
「これまでは人を育てるという目標に向かう上で、システムとしての統一に欠けていた。地方大学の役割は他にはない魅力ある人材を育てることにある。組織的な取り組みの中で成果を上げたい」。講演会であいさつした平山学長はセンター設置の意義を強調した。
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