2006年 5月10日 (水)
■ 〈In Region〉バロックは岩手に似ている しずくいし音楽館の園田のりこさん
10周年を迎えるしずくいし音楽館主宰の園田のりこさん
雫石町の園田のりこさんが主宰するしずくいし音楽館は、6月で開館10周年を迎える。全国各地を転勤して歩いた夫の退職とともに、2人とも縁のない同町をついの住み家に決めて移り住んだのは1996年。「大好きな古典音楽を楽しみたい」と自宅に構えたホールの評判は口こみで広がり、国内外で活躍中の演奏家たちが全国ツアーの会場の一つに数えるほどに。「異邦人」の自分たちを温かく受け入れ、育ててくれた地域の人たちへの感謝を込めて今、園田さんは10周年企画の準備を進めている。
園田さんは九州出身。夫の転勤で秋田県に住んでいたときに初めて県内に遊びに来た。つくられていない自然の景色と温かいながらも生きる姿勢に甘さのない県民性に引かれた。
家を建てるとき「単純に音楽を楽しめるスペースが欲しい」と築いた30畳弱の小さなホール。その壁面には雄大な岩手山が一望できる大きな窓を設置。季節や時間帯によって刻々と変化していく自然のグラデーションは、来場者だけでなく出演する演奏家たちも引き付けた。
年に1、2回、演奏会ができればと思っていたが、その評判は口コミで広まり今ではさまざまなジャンルの演奏家たちに使われるようになったという。
「音色や味がそのまま伝わってくる。何時間聴いてもじゃまにならない」というバロック時代の音楽が好き。「この時代の音楽は岩手の自然に似ている」。さまざまにつくり込まれる前の古典音楽は、自然のよさがそのまま残る県内の風土を思わせるという。
外から移り住んだ自分たちを温かく迎え入れてくれた地域の人たちに感謝。活動は常に「周りの人たちのじゃまにならないように」と心掛けているが、演奏会には近所の人たちも聴きに来てくれるようになった。周りの人との交流を通して常に育てられていると感じている。
この風土を大事にしながら自分たちの文化も静かに浸透させたい。「ここに来ると、元気になって帰ってもらえるようにしたい」と願う。
園田さんは「わたしたちの一番のメリットは演奏会の企画や準備などを通して元気でいられること。これからも細く長く元気で続けられればいいと思う」と話している。
開館10周年の記念企画「華麗なる古典舞踏・ルネサンス・バロック時代」は6月2日、盛岡市駅西通の市民文化ホール小ホールで開催する。
舞踊家の古賀穂南美さんと彌吉清孝さんが古典舞踏を披露。このほかチェンバロやリュートなど古楽器の器楽曲のプログラムも予定。ソプラノの熊谷亜紀子さんやバイオリンの山口あういさん、リュートの遠藤幸恵さん、チェンバロの剣持清之さんら県内在住者も多数出演する。
午後6時半開演。全席自由。大人3千円、高校生は2千円。問い合わせは同館(電話番号は019−692−2698)まで。
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