2006年 6月2日 (金) 

       

■  伊藤寿さんが施設内で個展 教え子も駆けつける

 
     
  かつての教え子らに制作について語る日本画家の伊藤寿さん  
 
かつての教え子らに制作について語る日本画家の伊藤寿さん
 
  盛岡市出身の日本画家伊藤寿さん(81)の個展が、同市永井のハートフルもりおか(戸田克彦施設長、入所者80人)で3日まで開かれている。同施設の入所者でもある伊藤さんが、施設内で絵筆を執った作品など13点を展示。手術後の腰の痛みをこらえながら制作することもあったという伊藤さん。「毎日を真剣勝負で描いた。一緒に入院していた人たちや病気と闘っている人の励みになれば」と、熱い思いを語った。

 同展は日本画小展「感謝」と題し、ハートフルもりおかの1階地域交流スペースで開かれている。2005年5月に開所した同施設で本格的な個展が開かれるのは初めて。昨年9月に入所した伊藤さんが「お世話になっている皆さんに恩返しをしたい」と、開催を希望して実現した。

  毎日朝10時から夕方まで、夜は午後7時から10時ころまで制作に励んでいるという伊藤さん。新作「樹」は、樹木を人間と同じように一つの生命としてとらえた作品で、「木の持つ情感のようなものを表現したかった」と話す。

  穏やかな色調で表現された1本の木は、画面から何かを語りかけるよう。この作品に見入っていた同施設利用者の女性(89)は「この絵を見ていると胸がすーっとする。素晴らしい作品ばかりで感激」と、車いすからじっくり鑑賞していた。

  雪の中に立つ女性を叙情的に表現した「冬の夜」や岩手山などの風景、静物を描いた作品も展示されている。

     
  伊藤さんが施設内で制作した「樹」  
 
伊藤さんが施設内で制作した「樹」
 
  伊藤さんは法政大学在学中から日本画で日展会員になり、江崎孝坪氏に師事。のち文化勲章受賞者の高山辰雄氏に私淑。岩手県日本画研究所を主宰し、岩手芸術祭、盛岡芸術祭の審査員を務めた。盛岡芸術協会、県日本画協会などの元会長。

  「長年、日本画の素材・描き方の研究に取り組んできたが、まだまだ未熟なところもある」と伊藤さん。「日本画(岩絵の具)の魅力は、その美しい粒子。限られた条件を克服しながらどのように絵に作り上げていくか」と、一貫した制作姿勢を語った。

  個展会場には、30年来の日本画の教え子らも駆け付け、師の久しぶりの個展開催を祝った。「この人たち(教え子)がいると思うと、幾つになっても恥じないような絵を描かなければと思う」と励みにする。

  現在は、日本画に加えて水墨画の制作にも挑戦しており、「心の内を表現するような、これまでにない水墨画を描きたい」と、次の個展への意欲を燃やしている。

  問い合わせは、ハートフルもりおか(電話637−1911)まで。







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