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■106巻紙 明治36年3月5日付
宛 東京市麹町区飯田町四丁目三十一
番日松舘止宿
発 岩手縣紫波郡彦部村大巻六十三
前略去ル二日電報為換金八円差立候筈定メテ受取候乎、入学之義(儀)ハ何学校ナリ徴兵猶豫ノ資格アル世評ノ宣敷学校(デ)授業(料)少額成効(功)利益アル学校に入学スベシ、当地ニアツテ学校ノ階級モ不案内ニ候、七月ニハ是非仙台ニテ入学試験ヲ受クル事ニ可致候、東京志(サ)ハ(ゝ)変更セサル様可致候、
衆議院議員選挙ノ結果岩手縣テハ左之通リ候、
ニ、〇五三 水澤 松本与右エ門
一、八八四 〃 高橋金治
一、七八〇 小山田村 一ノ倉賢一
一、七七七 盛岡 鵜飼節郎
一、七一一 一ノ関 阿部徳三郎
次点落選
一、七三〇 南部秀麿
四六三 丹野弥七郎
買収事件発覚シ彦部ノ(屋号H)S・S外二十一名警察ニテ取調犯罪者十名以上出来ルナラン其買収ハT・Kノ為ニシテ根本ハ当地ニテO・Gナリ、仝人ハ検事出張家宅捜索セラレ拘引トナリ多分証拠揚ケタル由ニ候、大巻星山ニハ疑儀(義)者ナシ、勿論当役場連ハ鵜飼ノ派ナル故彼レノ如キ貧乏候補者ヲ頂キタル為メ心気精(清い)々トシテ心地克ク候、其地ニ居ルG聞タランニハ嘸気ノ毒ニ被思候、
岩動モ日増ト云風説アリ、或ハ肺症ナル由風説アリ来タ見舞ニモ不参居候、
当役場ニテハ近谷菊治助役分掌ヲ解キ出勤セサル事ニ相成亥太郎書記トシテ採用三月一日ヨリ出勤居都合克交換相成候、金策ニハ何日モ困難ヲ極メ居ニ付出来得ル限節険(倹)被致度候、余者後便ト申残ス、早々
野村長四郎
長一殿
【解説】「前略さる2日、電報為替で金8円送金したのできっと受け取ったことと思う。入学のことは何学校なり徴兵猶予の資格ある世評のよい学校で、授業料少額、成功の利益ある学校に入学すべし。当地では学校の階級も不案内である。7月にはぜひ仙台にて入学試験を受けるようにせよ。東京を志さば変更しないようにすること。
衆議院議員選挙の結果岩手県では左の通りである。
ニ、〇五三 水沢 松本与右エ門
一、八八四 〃 高橋金治
一、七八〇 小山田村 一ノ倉賢一
一、七七七 盛岡 鵜飼節郎
一、七一一 一ノ関 阿部徳三郎
次点落選
一、七三〇 南部秀麿
四六三 丹野弥七郎
買収事件が発覚し彦部の屋号H、S・Sほか二十一名以上出るならん。その買収はT・Kのためで根本は当地のO・Gである。
同人は検事出張家宅捜索を受け拘引となった。多分証拠をあげたようである。大巻、星山には疑義者無し。もちろん当役場連は鵜飼派で彼のような貧乏候補者を頂き心気清々として心地よい。その地にいるGが聞いたならさぞ気の毒に思われるだろう。
岩動(孝久、俳号露子)も日増しに言う風説あり。あるいは肺症という風説がありまだ見舞いに行っていない。
当役場では、近谷菊治の助役の分掌を解き出勤しないことになった。近谷亥太郎を書記として採用、三月一日より出勤しており、都合よく交換がなった。
金策には何日も困難を極めているので出来るだけ節約するようにせよ。余は後便と申し残す。早々」という内容。
岩手の衆議院議員選挙の結果と身近に起こった選挙違反の様子を詳しく知らせている。父長四郎は、彦部村、長岡村の長い役場職員から村長ヘ上った政治家であるから、各種選挙には必ず関与しているのである。
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