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「写真の日(6月1日)」にちなみ、肖像写真家の先駆けとなったフランスの写真家フェリックス・ナダール(Felix Nadar 1820〜1910)の写真作品をこの欄で紹介した(バオリニスト、サラサーテとチェリスト、カザルスほか)。
その後ナダールについて文献に当たって見ると、たどり着いたところはトテモ!肖像写真家だけの枠に収まりきれない人物であることが分かった。ナダールの元の職業は挿絵画家・風刺画家だった。
挿絵画家とは、当時の新聞に記事の内容・情景を読者に分かりやすく伝えるために絵を書き添える職業である。
現在は新聞記事に(…限らないが)写真は付きものだが、写真が考案される以前は挿絵だった。
例えば、後の童話作家アンデルセン(パリに派遣された記者)が音楽会の記事を本国に送る時に会場の様子を伝える補助として絵を添える…というのが挿絵画家の仕事である。ナダールには風刺画家としての顔もあった。
またナダールには航空写真家としての顔もあった。ナダールは気球から初めてパリの街を写したのである。世界で初めて人工光源を用いたのも彼だった。
パリのカプシーヌ通り35番地にあった彼のスタジオは、政治家、芸術家、文化人が集うサロンで、そこで肖像写真を撮ることは、当時ステイタスだった。1874年4月15日、引っ越しのために空きになったそのスタジオで、売れない画家たち、マネ、モネ、ドガ、セザンヌ、ピサロらの展覧会「画家、彫刻家、版画家のための匿名作家協会展」が開かれている。第1回印象派展である。(岩手大学名誉教授)
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