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水銀の
あぶくま河にこのひたひ
ぬらさんとしてひとりきたりぬ。
〔現代語訳〕水銀のような色をなす阿武隈川にこの額を濡らそうと思って一人来たのです。
〔評釈〕「歌稿〔B〕」の「大正五年七月」三十六首中の三十一首目で「歌稿〔A〕」では「福島」と題されている二首のうちの二首目の歌で、「359歌」。結句の表記は、「歌稿〔A〕」では、「来りぬ。」と漢字表記であった。「阿武隈川」は、「福島県南部、白河市西方に発し、宮城県南東部で太平洋に注ぐ、現在も、河谷は福島県中通り地方の交通・経済の動脈をなす。」〔『マイペディア』抜粋〕「水銀」については、「水銀の特有な光沢が比喩(ゆ)的に使われることが多い。」という『新宮澤賢治語彙辞典』の指摘を既に紹介した。短歌の場合は、多く川や海に使われ、前者には言及した「153歌」や後者には言及予定の「451歌」等がある。「ひたひ/ぬらさんとしてひとり」が作品の核心。
(岩手大学教授)
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