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「これはわたしが去年買った車です」という日本語は自然です。「わたしが去年買った」が「車」より前です。でも、すでにお分かりのように、英語の語順のしくみでは、「これはナニナニである」という情報が先ですから、まず、This is a (the) car.「これは(その)車です」と言ってから、その後に「わたしが去年買った」という説明をつけます。
この場合、その「車」と「わたしが去年買った」は離れています。そこで、この二つの情報を取り結ばなければなりません。
そこで、「これは(が)その車です、あれ(that)をわたしは去年買ったんです」というように考えていたことが古代英語時代の記録からはっきりと読み取れます。
当時の文字は今のアルファベットと違うものがあるので、ここには書けないのが残念ですが、あくまで「あれ」という指示代名詞だったのです。
今では、この場合のthatは「あれ」という意識で使われることはなくなり、単なるつなぎ役となりました。この場合、「わたしが買った」の方から見ると「その車を」という「〜を」の関係にあります。そんなとき、現代の話し言葉ではこのつなぎ役thatを言わないで、This is the car I bought last year.にします。
which(どれ、どちら)という疑問詞も12世紀にはつなぎ役に使われるようになりました。先の例で言えば、「これはその車です」と言っておいて、「どの(which)車かというとわたしが去年買ったそれですよ」と言った具合で、This is the car which I bought last year.となりました。whichが「〜を」の役目をするとき、話し言葉では省略されます。
このように「車」と「わたしが去年買った」を関係づけて「接着剤」役をするthat(あれ)やwhich(どれ)などを後世の学者が「関係代名詞」(relative pronoun)と名付けたのでした。
(言語人文学会顧問)
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