2006年 8月6日 (日) 

       

■  〈胡堂の父からの手紙〉71 八重嶋勲 上阪のことは出立に決まった

 ■112巻紙 明治36年4月18日付
 
  宛 東京市麹町区飯田町四丁目三十一
    番日松館
  発 陸中紫波郡彦部村
前略上坂之事ハ○的ノ為メ想ヘ(ヒ)止リ居候得共誘引者ノ都合ニ依リ出立之事ニ決シ候、就テ多分来ル廿日出立スル事ナラン、夫共途中ヨリ上野着ノ日限ハ告スル事ニ可致候、請求之金員ハ其際持参スル事ニ可致候、右用事迄、早々
              野村長四郎
   長一殿
 
  【解説】「前略上坂(上方見物)のことは、○的(お金)のため思いとどまっていたが、誘導者が都合つかず、出立することに決まった。ついては、多分20日出発することになると思う。旅の途中から上野着の日時を知らせることにしよう。請求の金(生活費)はその際に持参する。右用事まで、早々」という内容。
  家計上困難なため思いとどまっていたが、誘導者がいないので行くことに決めたという。旅費の工面を「○的」と隠語を使ったのが親しみがあって面白い。
 
  ■113はがき 明治36年4月19日付
 
  宛 東京市麹町区飯田町四丁目三十一
    番日松館内
  発 岩手紫波郡彦部
前畧本日午后六時直行ニ而出立同行六人明廿日日光ヲ経テ夜汽車ニテ上野ヘ着可相成ニ付仝所ニ待受ケ候、尚ホ日光線ヘ乘替以前通報スルコトセリ、豫メ宿泊モ頼ナルヘキ故豫定シ置ベシ、仲間 小豆澤ノ兄、境ノ兄、畑中、玉根、石川金太
 
  【解説】「前略本日午後6時直行で出立、同行6人。明20日日光を経て、夜の汽車で上野へ着くので、同所に待ち受けている。なお、日光線に乗換え前に知らせる。予め宿泊先も頼んでおくので予定して置くべし。仲間は、屋号小豆澤の兄(佐比内)、屋号境の兄(星山)、屋号畑中(大巻)、屋号玉根(大巻)、石川金太(彦部)」という内容。
  同行者は、当時の紫波郡佐比内村、彦部村の親せき、知人である。上野で長一と久々に会う父のうれしさがうかがわれる。

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