昭和51年、あの「読んでから見るか、見てから読むか」の三位一体商法(活字・映像・音楽)で、横溝正史ブームを巻き起こした角川書店は、翌52年、森村誠一の『人間の証明』で再びブームとなりました。
10月、角川はこれに合わせるかのように、新しいイベント・マガジンと称する新雑誌『バラエティ』(A4判・138ページ)を創刊しました。
グラビア速報は当然のように『人間の証明』です。「公開まであと47日、東京とニューヨークを結ぶ壮大な森村誠一の人間ドラマ、完璧映画化!角川映画第2の挑戦!」と打ち上げます。
監督に佐藤純弥、脚本に松山善三、俳優に三船敏郎・松田優作・鶴田浩二・ハナ肇・岡田茉莉子・竹下景子・ジョージ・ケネディら、音楽に大野雄二・ジョー山中と、先の『犬神家の一族』に匹敵する、チャレンジ第2弾であることを強調するのです。
映画制作費6億5千万円、宣伝費11億円とか、「お母さん、僕のあの帽子どうしたんでしょうね」という宣伝コピーが流行しました。さらに創刊記念劇画も小井土繁が描く『人間の証明』です。
創刊記念巻頭対談は「独断と偏見に満ちた野生のこころで」と題し、五木寛之と角川の御曹司、角川春樹が、文学・音楽・映画について語り合います。
後に春樹は、映画監督として「天と地と」「恐竜物語」などの作品で、その多才ぶりを発揮しましたが、コカインの密輸にまで手を出して逮捕されました。
連載「BIG・STAR」は松田優作です。「よけいな闘い方はしたくない、オレは俳優として100%燃焼したい」と語る個性派はもう居ないのです。
映画紹介はSF超大作特集で、ショッキングな未来図を迫力ある映像とサウンドで描く「世界が燃えつきる日」と、特殊効果をふんだんに使ったSFファンタジィ「スター・ウォーズ」の2作です。
イベント・マガジンというだけあって、40ページにわたって音楽・映画・スポーツ・演劇・読書・TV・コラム・行楽など、催し物の情報を満載して「待っていては何も起こらない、さあ、新雑誌とともに跳びだそう、街へ!」と、呼びかけるのです。
この年の日本映画も元気でした。「八甲田山」「幸福の黄色いハンカチ」「竹山ひとり旅」「はなれ瞽女おりん」など好評でした。(毎週日曜日掲載)
|