2006年 8月7日 (月) 

       

■  〈校長室の窓から〉92 野口晃男 低学年の子が泣きながら 

 休み時間、校長室は将棋や手品の子供たちでいっぱいです。そこに低学年の子が、泣きながら訴えてきました。高学年の子が足をけって外に出て行ったというのです。

  こんなとき、校長室は一時的に閉鎖になります。校長室の十数人が一斉に、けった人を捜しに外に出ました。

  授業が始まる直前に、けった子が見つかりました。連れてこられたのは男の子で表情は暗く沈んでいました。

  その高学年の男の子の言い分はこうでした。
  「低学年の子が自分を見かけるたびに、指さして生意気なことを言ってばかにするので、こらしめのためにやってしまった」

  これが事実であることを低学年の子も認めたので、一件落着としました。
  こんなのはいじめでも何でもありません。
  年上の人に対して失礼なことをする子は、少しは痛い目にあって当然なのです。
  低学年の子が高学年の子に、丁寧に謝ってこの場は終わりとしました。

  3時間目に教室をのぞいてみると、それぞれの教室でそれぞれに何事もなかったように勉強していました。

  高学年の子には、教室に入ってそっと耳打ちしました。
  「小さな子がまた失礼なことを言ったら、きちんとしかってあげてくださいね。ただし、今度は小さな子の足をけったりするのではなく、言葉を使って優しく分かるようにね」

  高学年の子は、納得し、おだやかな表情でうなづきました。表情はもう、さっきのように暗く沈んではいませんでした。
  「小さい子をいじめてはいけません」などと、きまりきった注意で終わらせていたら、その子の表情はきっと前のまま暗く、沈んだものになっていたでしょう。

  それも、注意した人間に対する不信感というもっとも忌まわしい感情とともに。(盛岡市教育相談員)

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