野ばらの木など
かゞやくものを 七つもり
あまりにしづむ リパライトなり。
〔現代語訳〕ここには、ノバラなど輝いておりますのに、七つ森は(輝くノバラと対照的に)沈み込んでいるリパライト(流紋岩)なのです。
〔評釈〕「歌稿〔B〕」の「大正五年十月より」六十三首中の二十二首目の「387歌」。「歌稿〔A〕」では、「灌木もかゞやくものを七つ森/あまりにしづむ(陰気な)Lipeliteかな」であり、「歌稿〔B〕」の初句にも「灌木も」があるが、抹消されている。また、結句には「ならずや」の形もあった。ノバラは、「灌木(「低木‖『広辞苑』では、「人の背丈以下」)」の代表的なものの一つ。推敲(すいこう)過程からは、「灌木」から「野ばら」と具体性を強めたことが分かる。ただし、この場合の初句七音が必然的なものかは議論が分かれよう。二行目、三行目中間の空間は、三行と並んで五七五七七の短歌定型の遵守的表示が示されている。近景(「野ばら」)から遠景(「七つもり)への転換はいつもの用法。
(岩手大学教授)
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