2006年 8月8日 (火) 

       

■  「浜藤の酒蔵」残して 市民団体が盛岡市に取得を要望へ  

 今年3月に自己破産した盛岡市の酒蔵会社・岩手川(関口宏社長)が所有していた市指定の保存建造物「浜藤の酒蔵」(鉈屋町)と「浜藤私邸」(仙北町1丁目)が消失の危機にあり、市民団体などが保存活用を求める動きを活発化させている。岩手川の財産は破産管財人によって清算手続きが進められている最中で保存建造物も例外ではない。「近く売却先が決まるのでは」との憶測もあり、市民団体側は「緊急避難的に市が建物を取得し、市民協働で活用手段を模索するべき」と訴えている。

 浜藤の酒蔵は同社の第2工場で近世末期から明治初期に建築された土蔵造りの酒蔵(延べ床面積・約344平方b)。盛岡城下の街並みをほうふつとさせる鉈屋町かいわいの中心的な建築物として親しまれている。浜藤私邸(木造2階建て、延べ床面積193平方b)も改造が加えられているものの、町家形式の商家のたたずまいが残る貴重な建築物で、歴史的な景観を生かしたまちづくりや観光振興の上でも注目されてきた。

  両建築物とも清算手続きの中で売却は避けられない。売却先の意向によっては、取り壊されることも考えられるが、「何とか保存活用する道を探ってほしい」というのが、まちづくりに携わってきた関係者の共通した願いだ。

  町家など歴史的建造物の保存活用に取り組む盛岡まち並み塾(村井軍一代表世話人)、歴史を生かしたまちづくり活動を進める文化地層研究会(高橋智代表)は、それぞれ8日に、谷藤裕明市長に対して、保存活用に向けた要望書を提出する。建築士会や産業考古学会の関係者らも近く要望を予定している。

  長年、歴史的建造物の調査や保存活動に携わってきた日本建築家協会東北支部岩手地域会副会長の渡辺敏男さんは「地域の伝統的、文化的な資源は一度失えば、二度と本物は手に入らない。歴史的建造物は単なる建物ではなく、暮らしを支えた重要な資産」と強調。「市に取得してもらえれば、活用については全面的に協力できる」と市の英断を期待している。文化地層研究会の真山重博さんも「まずは市に建物を取得してもらいたい。話が後先になるかもしれないが、地元の人を巻き込んだ具体的な活用方法は積極的に提案していきたい」と話す。

  岩手川の破産管財人を務める村井三郎弁護士の事務所によると、両建築物を含めた不動産は任意売却を基本に手続きを進める予定で、数社から買い受けについて相談があるが、具体的な売却先や売却時期は決まっていないという。ただ、清算手続きは早期に進める必要があり、年内には決着したいとしている。

  この問題については7日開かれた市の環境審議会でも話題に上った。岩野光進環境部長は「管財人による債権の整理が行われている状況。保存についてはお願いしているが、市の意向で主体的に何とかできるものではない。活用を含め民間で手を挙げてくれるとありがたい」と述べるにとどまった。


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