世界的なジャズピアニストとして名高いニューヨーク在住の穐吉敏子(あきよしとしこ)さんのリサイタルが、開運橋ジョニーの照井顕さんの尽力により紫波町の野村胡堂・あらえびす記念館ホールで8月2日の夜開催されました。
開演の2時間以上も前から大勢の人々が集まり、記念館の内も外も熱気であふれかえっていましたが、この日は肌寒い前日とは打って変わって好天に恵まれ、さわやかな大気が会場全体を優しく包みこんでくれました。
開演も間近になったころ、まるでプラネタリウムのプロローグのような夕景に居合わせた何人かが息をのみました。薄雲の間から顔を出した真っ赤な夕日が東根山の南側の稜(りょう)線にゆっくりと沈んでいく光景はこれから訪れようとしている至福のときを予感させるものでした。
こうしてあらためて見回してみますと、丘陵の上にたたずむ記念館からは、空と地が何にもさえぎられることなくどこまでも広がっていて、なんともすばらしいロケーションです。恐らく国内の同じような施設の中では最高のたたずまいではないでしょうか。南昌山や東根山などの山並みのシルエットといい、山々の形や高さと空の区分が絶妙です。これぞ自然の妙と言っても過言ではありません。いや、それにもましてこの地を選んだ関係者の方々のセンスに敬意を表します。
リサイタルのすばらしさは言うまでもありません。穐吉さんのピアノの音一粒一粒には心のメッセージが込められていて聴く者の心に深く伝わってきます。なぜ音楽をやるのか。たとえジャンルは異なっていても、音楽に携わる多くの人たちがきっと穐吉さんにそのことを学ぶのだろうと思いました。
リサイタルが終わり、その余韻も冷めやらぬまま外に出てみますと、薄雲の間にたくさんの星が輝いています。星の光が鋭いのは、人工灯火が少ない上に大気が澄んでいるためでしょう。
日の沈む光景の美しさ、音楽の感動、そして星の光。未来に期待と希望を抱かせてくれる野村胡堂・あらえびす記念館です。(盛岡天文同好会会員)
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