2006年 9月5日 (火) 

       

■  〈夜空に夢見る星めぐり〉164 八木淳一郎 さよなら大三角形またきて四辺形 

 うだるような地上の暑さをよそに、星空はゆっくりと静かに秋を迎えています。夏の夜空の代表とも言える、こと座のベガ、わし座のアルタイル、はくちょう座のデネブがつくる夏の大三角形がまだ天頂に見えることから「まだ夏じゃん」と思いがちですが、ふと東の空に目を落とすとしっかりと秋の四辺形と呼ばれるペガスス座が顔を出し、これに続くアンドロメダ座の色っぽく横たわる姿があって急に行く夏がいとおしい気持ちが募ります。

  アンドロメダ姫の上にはペルセウス王子が、そのまた上にカシオペア王妃とケフェウス王が、といった具合に「まだ秋いやだ」とわめいても、もう役者が出そろっています。

  今年の秋は寂しさもひとしおです。それというのも明るい惑星がいないのです。

  年によっては1等星の少ない秋の夜空に彩りを添えるように、火星がいたり、土星や木星がいたりするもんです。それがどうでしょう。

  さしもの惑星の王者ジュピターの巨光も西空低くモヤの中に埋もれかかっていて、あとの惑星たちは?と見回していると、東南の空低くみずがめ座の一角に天王星、南の空低くやぎ座の中に海王星がいるものの、いずれも肉眼では見ることができません。

  へび座の冥王星にいたっては降格人事の憂き目にあい、「あんた惑星じゃないんだから」と、とほほの冷たい仕打ち。もっとも冥王星は14等星といった暗さで、よほど大きな望遠鏡でもない限り見ること
はできません。

  誰ですか、「めいおうせい」なら「目いを〜皿のように」すれば見えるってダジャレをとばしているのは!ただ、まじめな話、冥王星はずいぶん前から惑星ではないという意見を唱える天文学者が多かったのも事実です。

  冥王星を発見したアメリカのアリゾナの砂漠の中にあるローウェル天文台は、もともとローウェルが火星の運河を観測するために私財を投じて建設したもので、今でも太陽系天文学の第一線で活躍する天文台です。

  海王星の外側にもう一つ惑星があると信じてローウェルは発見に励みました。その遺志を継いで助手のトンボーが1930年に偉業を果たします。英名のプルートは11歳の女の子の命名です。寂しい秋の星空ですが、それでもロマンに満ちあふれているのですね。
(盛岡天文同好会会員)


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