2006年 9月7日 (木) 

       

■ 本格化する小学校の英語活動 教諭も外部講師から学ぶ

     
  滝沢村教委が主催した研修会で、すごろくを使った英語活動を体験する小学校の教諭  
  滝沢村教委が主催した研修会で、すごろくを使った英語活動を体験する小学校の教諭  

 中央教育審議会の外国語専門部会は今年3月、小5からの英語必修化を提言した。英語への関心が高まる中、県内でも、これまで以上に小学校の英語に力を入れるところが目立っている。紫波町は05年度から町内の全小学校の3年生以上を対象に年間30時間、週1回程度の英語活動を導入。滝沢村も今年度から鵜飼小、篠木小の両校を試行的な実践研究校とし6年生を対象に年間30時間の英語活動をスタートさせた。小学校での英語活動を実り多いものとするためには指導者の育成や中学英語との連携など課題もある。国際化時代を生きる子供たちの真の力を養うため教育現場では試行錯誤が続く。(馬場恵記者)



 「ABCフィーバー、ABCフィーバー…」。音楽に合わせ、リズミカルに英語を話す「チャンツ」。軽快なイントロに続き、リズムに乗って英単語を発声する。前方に映し出された画面には、アルファベットとイラストが次々に表示され、目と耳をフル回転して英語に親しむ。最初は音楽に追いつくのがやっとだった先生たちも数度、繰り返すうちにコツをつかんだ。

  8月4日、滝沢村役場で開かれた同村教委主催の小学校英語活動担当者のための研修会には、村内の小学校などから約20人の教諭や教育関係者が参加。教育関係の民間会社・ベネッセコーポレーション小中学校事業部の中山明子さんからチャンツやカードゲーム、ワークブックを活用した英語の授業の実践例を学んだ。

  「自治体の予算の都合もあり、すべての学校にALTを派遣するのは難しいと思う。日本人の先生でも教材を上手に使ってもらえれば、発音の指導にも自信が持てるようになるはず」と中山さん。

  同社は04年度に岩手、宮城、鳥取など6県の知事らで組織する地方分権研究会の委託を受け、小学生向けの英語教材(テキスト、CDなど)を共同開発。今年度は県内29校がこの教材を採用している。同村教委も実践的研究校での活用を決めた。

  英語活動に取り組む鵜飼小の藤川真人教諭は「子供たちもだんだん慣れてきた。普段自分を出すのが苦手な子も、楽しみながら周りと接する力をつけてくれるといい」と期待する。一方で「ALTとの打ち合わせや教材準備の時間の確保が課題」と指摘した。



  県内の小学校で何らかの英語活動を取り入れている学校は95%に上るが、活動時間には大きな差がある。県教委の調べでは、小学校6年生の年間の活動時間は4〜11時間が最も多く222校(50・2%)、次いで1〜3時間が87校(19・7%)、12〜22時間が74校(16・7%)。23〜35時間は37校(8・4%)、36〜72時間は2校(0・5%)にとどまる。

  同村も外国語指導助手(ALT)を派遣し、英語の歌やゲームに親しむ授業は以前から実施していた。しかし、村に2人しかいないALTを全校へ順繰りに派遣すれば、子供たちが実際に英語に触れる時間はごくわずか。その場限りの英語体験で終わってしまい、学習の積み重ねにはつながりにくかった。

  鵜飼小、篠木小の児童はそろって滝沢南中に進学するため、中学英語との連動も視野に実践研究を進めることができる。両校の授業には必ず外国語指導助手を派遣し、学級担任とのチームティーチングで指導する考えだ。

  同村の三浦壮六教育長は「バイリンガルで使えるほどの英語を身につけるためには、相当な訓練が必要。小学校の英語は、英語は面白い、勉強したいと思う気持ちを育てるのが目的。将来の飛躍に向け、上手に離陸させたい」という。「目や髪の色が違っても、恥ずかしがらず自然にコミュニケーションがとれる能力が求められている。そういった力を育てるのは、むしろ小さいうちからのほうが良い」とも。小学校の教諭は英語の専門ではないが「身振り、手振りを交えて、必死にコミュニケーションを取ろうという姿勢を子供たちに見せることのほうが大事。大人だって努力しなければならないということが、子供たちの自信や意欲につながる」と力を込める。



  05年度から町内の全小学校の3年生以上に年間30時間の英語活動を取り入れた紫波町教委は、その成果を実感しているという。

  同町教委の調査では各学校から「視聴覚教材の音声やALTの言葉をシャワーのように浴びせること
により、児童の英語の音を聞き分ける能力が高まっている」「他教科では、人前で話すことに抵抗感のある児童も次第に積極的な態度に変わってきており、自分を表現することのできる児童が増えてきた」といった活動の成果が寄せられた。町内の全小学校で取り組むことで、学校による格差が生じないというメリットもある。

  ただ、3年生からの英語活動の導入というスタートは同じでも、内容が難しくなるにつれて、英語への興味が続く子とそうでない子の差も現れてきたという。町教委では「中学校に行く前に、英語嫌いになることがないよう内容をチェックしながら進めたい」としている。



  現在、小学校で行われている英語は教科として教える早期英語教育と区別するために「英語活動」という言葉が使われている。国際理解やコミュニケーション能力の向上に重点が置かれ、歌やゲームで英語に親しむ活動が中心だ。

  中教審の提言では、成績を数値化して評価する「教科」ではなく、「総合的な学習の時間」の中などで週1回程度(年間35時間程度)の授業数を確保することが適当としている。

  しかし、専門家などからは英語の免許のない小学校教諭が指導に当たらなければならない問題や中学英語との連携、国語教育とのバランスなどの課題も指摘されている。「小学校段階では国語力の向上に力を注ぐべき」との意見も根強く一層のコンセンサスづくりが求められている。

  盛岡市教委の阿部敬行学校教育課長兼教育研究所長は「英語に関心が集まるが、学習指導要領の見直しの中で、他の教科の時間数やあり方についても検討が進められている。教育全体の大きな枠の中で今後の方向づけを考えていく必要があるのではないか」と話す。


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