2006年 9月7日 (木) 

       

■ 〈お父さん絵本です〉124 岩橋淳 おつきさまこんばんは

 昼間はまだまだ暑い日が続いていますが、いったん陽(ひ)が落ちれば、秋の虫の声。見上げれば、どこか月も秋の顔をしているから不思議なものです。中秋の名月にはちょっと早いのですが、お月様をめぐっての幼いこどもらのやりとりがほほ笑ましい一冊をご紹介します。

  夜空に上ったまあるいおつきさま。これを歓迎するのは、屋根に上がった子猫たち。雲に遮られるというアクシデントもありますが、最後はにっこり、「こんばんは」。

  本文8場面、物語と呼ぶにはあまりにシンプルな作品ですが、赤ちゃん向け絵本として、根強い人気を誇っているのです。全編を通して画面は夜の闇、そこに浮かんだおつきさまのまばゆさとのコントラスト。せっかくのおつきさまを覆い隠そうとする黒雲にはらはらさせられるサスペンス。昔、西洋で描きならわされたような目鼻立ちのおつきさまが、よくよく見るとお母さんのような優しげな表情で笑いかけるさま。読み手の感情も込めやすく、目から耳から、柔らかくも起伏に富んだ展開で、赤ちゃんのハートをがっちりキャッチしてしまうのです。秋の夜、赤ちゃんのナイト・キャップにどうぞ。

  【今週の絵本】『おつきさまこんばんは』林明子/作、福音館書店/刊、735円(税込み)0歳〜(1986年)


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