2006年 9月10日 (日) 

       

■  〈盛岡百景〉81 盛岡手づくり村 

     
  地場の伝統産業の振興と観光を融合させた盛岡手づくり村  
 
地場の伝統産業の振興と観光を融合させた盛岡手づくり村
 

 大型連休や盆休みといった帰省客や観光客で各行楽地がにぎわう時期。盛岡市繋の盛岡手づくり村も来場者でにぎわいを見せる。盛岡地域の地場産品販促、伝統産業の工房確保などを狙いとした施設。一般には観光のイメージが強いが、工業団地でもあるのだ。

  オープンしたのは1986年5月。この複合施設の独創性、先進性から一般利用客はもとより全国から視察が相次いだ。今では全国各地で類似施設を見ることができるようだ。

  当時、注目された大きな要因の一つが、製作を「見せる」仕掛けだった。分業化された大型工場は言うまでもなく、何百年と続いてきた伝統的な地場産業の工場も、舞台裏にあるものだった。店舗で作業をしていても来店者は買い物が目的で、作業を見るのが目的ではなかったはずだ。

  その概念を壊したのが盛岡手づくり村のプランと言える。伝統的な工芸品や食品は手仕事が多く、経験がものを言う工程も多い。精巧なコンピューターでもすべてには及ばない匠の技が存在する。この匠技を見せることは当時の日本では斬新な発想。それだけに、当事者の職人にも賛否があった。見せ物にはなりたくないと、工房を移す際、職人気質で辞めた人もいたという。

  それでも画期的な複合施設は、盛岡地域の自治体や商工会などで構成する財団法人盛岡地域地場産業センターと進出業者による盛岡手づくり村協同組合、同市の3者で開村を実現させた。年間で数十万単位の来場者は見込んでいたが、98年ごろは100万人を突破し受け入れ能力を超える時期が続いた。05年は約50万人とピーク時の半分となっても全国的に見て堅調、健闘のレベルという。

  盛岡手づくり村の中は回廊のように工房を配置。南部鉄器、藍染め、民芸、食品など15工房を歩き見ることができる。統一感のある建物が並び、中に一歩踏み入れると製作にいそしむ匠の姿や地場産品に触れることができる。幾つかは製作体験が可能だ。

  南部曲がり屋では体験教室が開かれることも。曲がり屋は開村時からあったが、火災焼失し、02年に雫石町内から移設復元された2代目で、地域の生活文化の一端を伝える。

  今日、旅行は団体型から個人型に移行し、名所旧跡を見て回るスタイルの一方、体験型志向が増えている。匠に出会い、技に触れる機会がここにはある。(井上忠晴記者)


本ページ掲載内容の無断転載を禁じます
ホームページに関するお問い合わせ、取材に関する情報は
E-Mail:hensyuu@morioka-times.com
盛岡タイムス宛てにお願いします