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この夏、盛岡へサイクリングに来た友人が「立派な石垣の城跡があるんだね」と驚いていた。
岩手公園が盛岡城跡だということを盛岡の住民なら誰もが知っている。でも、ぼくたちには当然のことでも、盛岡を知らない方や他県の方にはそうではない。そして、ぼくたちが思っている以上に、盛岡は他県での方々にあまり知られていない(弘前の知名度と比べるとよくわかる)。岩手公園という名称では、そこが城跡であることは伝わらないのだと思い知らされた。
岩手公園開園100周年を期に、盛岡市は盛岡城跡公園という愛称を定めた。これを期に、盛岡城跡公園の歴史をよく知ってもらい、また憩いの場としてこれまで以上に親しまれる公園づくりを進めていくことになろう。
改めて盛岡のまちを俯瞰(ふかん)すると、盛岡城跡公園が中心となっていることに気づく。これは、中心市街地の活性化の鍵となることを意味している。
もう一度、サイクリストから聞いた話に戻る。
盛岡城跡公園を散策しようとしたところ、自転車置き場がない。自転車に乗ったまま入っていいものかどうかもわからない。
「広場のバラ園の前に自転車を置いて散策をしたが、それでよかったんだろうか」
そう訊(き)かれたが、ぼくもちゃんと答えることができなかった。確かに盛岡城跡公園には専用の駐輪場がない。
彼はその後、盛岡駅前に行った。駅構内の土産物屋から、盛岡の名物を自宅や親せきに送り、ついでに駅前の有名な焼肉店で冷麺を食べるつもりだった。
「ところが、駅前は駐輪禁止という看板や表示がこれでもかというくらい並んでいて自転車を置くところがないんだよ。まるで自転車を目の敵にしているような感じがして、怖いくらいだった」
彼は後ろめたさを覚えながらも、歩道に自転車を駐めて目的の用を足したという。
後日、ぼくは自分の目で駅前の様子を確かめた。彼の言ったとおりだった。歩道上に十分な駐輪スペースがあるのに、どこもかしこも駐輪禁止となっている。撤去するという注意書きからも、放置自転車対策であることは明白だが、これでは自転車では来ないでくれ、と拒否しているに等しい。
自転車は旭橋たもとの市営地下駐輪場を利用せよ、ということなのだが、あの駐輪場の不便さは駅前商店街の人々も十分に承知しているはずだ。はっきり言って駐輪場の勉強と研究が不十分な時代につくられた時代遅れの施設なのである。
郊外の大型店との差別化を図ろうとしている中心市街地の商店街は、どのように自転車を受け入れていくかを真面目にきちんと考える時期を迎えている。
駅前を例に挙げたが、迷惑駐輪を黙認している大通商店街にも同様のことがいえる。自転車で気軽に行ける商店街づくりをぜひ目指してほしい。
駐輪スペースをつくれば放置自転車が増える。だから、つくらないというのは「銀行の自動支払機を増やせば強盗が増える」というジョークに似ていて、実は理に適っていない。
ちゃんと駐輪スペースを整備すれば、自転車のマナーは向上する。これは盛岡さんさ踊りの際に、特設駐輪場を設置した経験から得た実感だ。
(作家、盛岡市在住)
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