2006年 10月 1日 (日) 

       

■ 〈胡堂の父からの手紙〉79 八重嶋勲 雪鞋は伯父に依頼し製作中

 ■126巻紙 明治36年10月26日付
 
  宛 東京市本郷区臺町十九番地三洲舘
    内
  発 岩手縣紫波郡彦部村 
  森川局宛送金ス
前略曽テ照會相成候、雪鞋之義(儀)ハ当時佐比内之伯父ニ依頼シ製作中ニ付明後日頃小包ニテ送付可致候、カンチギモ青森之産地ヘ照會中、且ツ至急取寄送付スル手續罷在候、
雪鞋自家使用ノモノ略等ニ有之候得共何分製作粗末、殊ニ昨年凶作藁ノ為メ出来悪シク実際用ヲ為シ(ス)ニ於テモ本年藁ノ製作ハ一日十五六里ノ旅行ニ可堪モ、昨年藁ノ製作ハ一日使用不足、且ツ十里位旅行スルニ困難ナルベシ、就テ本年藁ニテ見テ製作中ナリ、
金拾六円丈送付致候、袴ハ不日盛岡ニテ切立送付スル事ニ可致ニ付其事ニ承知可致候、金員着次第受領之報導スベシ、
右用事迄、早々
  十月廿五日
             野村長四郎
   野村長一殿
 
  【解説】「(添書き)森川局宛送金す。

  前略さて、照会のあった雪鞋(この地方ではツマゴという)のことは佐比内村の伯父(屋号中野、長一の母の実家)に依頼し製作中であるので、明後日頃小包で送付する。カンジキも青森の産地へ照会中であり、至急見本を取り寄せ送付するよう手続き中である。

  雪鞋自家使用のものは、何分粗末なもので、ことにも昨年は凶作で藁(わら)が悪く、できも悪く、実際使ってみても、本年の藁製作のものは1日15、6里の旅行に堪えるが、昨年藁のものは1日使用はできず、かつ10里位の旅行に堪えない。ついては本年藁で製作中である。

  金16円送付した。袴はいつの日か盛岡で見つけ送付する。金着き次第受領の知らせをすべし。右用事まで。早々」という内容。

  長一から照会のあった雪鞋を、佐比内村の屋号中野の伯父に頼んで製作中。カンジキは青森の産地から取り寄せて送るなど、と父はいそいそとして積極的である。

  昨年取れた藁の状態が悪いということから明治35年は凶作であったことも分かる。

(県歌人クラブ事務局長)


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