2006年 10月 3日 (火) 

       

■  〈イタリアンチロルの昼下がり〉第2話 及川彩子 ガリオの小学校 

     
   
     

 イタリアの新学期は9月。3年生になった長女ルチアは、元気に通学しています。
  小学校は、人口8千人の隣町ガリオ。我が家がガリオとの町境にあって近いこと、全校生100人ほどの小規模校であること、この学校の元教員、友人のアンアピアのすすめもあって選んだのです。

  チロル風の校舎で、体育館も音楽室等の特別室、校庭、職員室もありませんが、家庭的雰囲気で、ルチアはとても気に入っています。

  イタリアの小学校は5年制。公立校のほとんどは月曜から土曜までの週6日、午前授業です。送り迎えは家庭の義務ですが、遠くの子のため、スクールバスも走っています。

  役所も会社も店も、3時頃まで一斉に昼休みのイタリア。みんな帰宅し家族と昼食を取り、ゆっくり過ごします。昼休みの父親が、子どもを迎える姿も珍しくありません。

  先生も生徒と一緒に下校です。ルチアの担任のナディア先生は「私にも家庭があるのよ」と言うのでした。

  1学級20人、担任の先生は2人。5年間持ち上がりで、教科は国語・算数・理科・社会・英語・宗教。教科ごとに先生が代わるので、ルチアも、どの先生とも親しげです。

  2年前の入学の日、先生は「覚えが速い、遅いは個性。他の子と比べないでください」と言いました。そして「好奇心を育てるには、よく外で遊ぶこと。子どもらしい発見を大切に」と、保護者に念を押したのです。

  この国には、時に飛び級・落第はありますが、高校にも大学にも入学試験はありません。個性を尊重し、家族の絆(きずな)を大事にするイタリアでは、学校の勉強は生活のほんの一部分。だからこそ「学校で友だちと学ぶこと」が貴重なのだと納得するのでした。

  この数日、ルチアは、学校から帰ると昼食もそこそこに、夫と近くの森へキノコ採りです。狙いは天然のマッシュルーム。学校で収穫を自慢しているらしいのです。
(隔週火曜日掲載)


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