今回は、「ナニナニだけれども」の場合の「〜けれども」を見てみましょう。
例えば「彼はひどい風邪をひいていたけれども、いつものように出勤した」という場合、日本語なら「彼はひどい風邪をひいていた」と言ってから「けれども」と言います。
英語ではどうなっているのでしよう。次の2つの発話を比べてみましょう。
1.He went to work as usual
though he had a bad cold.
2.Though he had a bad cold, he went to work as usual.
ここで、thoughは「〜けれども」という意味に当たる語です。英語では接続詞という扱いです。接続ですからつなぎ役です。
つなぎ役ならば、「しかし」(but)のように、「彼はひどい風邪をひいた」の部分と「いつものように出勤した」という部分との間に置いて接着剤の役目を果たすはずだと思ってしまいます。例1では、一見そのように見えます。
ところが、例2ではThoughが最初にきています。これでは、日本語のアタマでいけば、「けれども」から言い始めているようなものです。いきなり「けれども」と言われたって、何が「けれども」なのかは、その後ろを読まないと(あるいは、聞かないと)分からない仕組みになっているということになります。
英語に慣れた人は別として、英語を習いたての場合や、久しぶりに英語を勉強している場合、ついうっかり、日本語で思っている通りに、He had a bad cold though he went to work as usual. としてしまうことがあります。これだと、「彼はいつものように出勤したけれどもひどい風邪をひいた」となってしまいます。
なお、例2の語順の場合は、ひどい風邪なのに出勤して感心だ、という含みがあるというのが、二人のネーティヴ(アメリカ人とイギリス人)の共通した反応でした。
(言語人文学会顧問)
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