2006年 11月 10日 (金) 

       

■  〈必修漏れはなぜ起きたか〉受験教育も学校頼みの本県 

 
     
  問題が発覚して最初の会見で謝罪する照井県教育長(10月25日)  
 
問題が発覚して最初の会見で謝罪する照井県教育長(10月25日)
 
  「大学進学だけが最終目標ではない。部活やボランティアにも力を入れてきた。しかし、実際に9割の生徒が大学進学を希望して入学してくる。大学に合格し将来、希望の職業に就きたいという夢をかなえてやることがわれわれの使命」。高校で必修科目を履修させていなかった問題で、対応に追われた県立高校の学校長の一人はこう振り返った。履修不足を取り戻すための補習の軽減など受験を控えた3年生に対する国の救済策も示され、ひとまず混乱は収まりつつある。しかし、本質的な問題は何も解決していない。(馬場恵記者)
 
 本県では公立、私立合わせて36校で必修科目を生徒に履修させていない問題が明るみに出た。ほとんどの学校が、受験に必要な科目の授業数を増やすため、世界史を含めて2科目学ばなければならない地理歴史教科を1科目しか履修させていなかったり、必修の「情報」や「家庭基礎」をほかの授業に振り向けたりしていた。

  週5日制の導入で正規に確保できる授業時間数は減ったが、「情報」など新たな必修科目は増えた。多くの学校が「限られた時間で目標を達成させるための苦肉の策だった」と釈明する。県教委へ各学校から提出される教育課程表と実際に行われる授業を照らし合わせるチェック機能がなかったことも履修漏れの拡大に拍車をかけた。

  こうした状況が常態化した理由を教育関係者の一人は「予備校がないから」と説明する。首都圏の公立の進学校では、学習指導要領に沿った「非常にきれいなカリキュラム」を実施しているところが多いという。

  しかし、受験を控えた3年生は卒業に必要な出席日数を満たすと高校に行かず、予備校での学習に専念。進路指導も予備校が担い、高校は予備校での学習の邪魔にならないよう課題を出すことすら控える…。

  すべての学校の実態を反映した話ではないにしても、受験対策を丸抱えしている本県など地方の高校と首都圏の高校の教育環境の違いを指摘する関係者は少なくない。

  文武両道を掲げ、部活動も、学校行事も、受験勉強にも学校を挙げて力を入れる。それが岩手の公立高校の教育の良さだ。進学校であっても、ほとんどの3年生が高総体、各種コンクールと最後の大会が終わるまで部活動に参加する。

  別の校長は「受験のために課外授業を行えば部活動ができなくなる。どの学校も週5日30コマの中身をどうやりくりするか悩んだ結果だと思う」と話す。さらに、教育特区が認められるなど学習指導要領の運用の弾力化が進む中で「必ず守らなければいけないもの、という意識が薄れていたことも事実」と学習指導要領のあり方にも疑問を投げかけた。


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