本県は大学進学率が全国で46番目。医師や弁護士も恒常的に不足している。この状況を打開すべく、県教委は05年度から大学進学支援事業に本格的に乗り出した。大学進学希望者が多い18校に対しては今年度、計1350万円の助成金を交付。録画した予備校の講義を放映するサテライト授業の導入や外部講師による特別授業など各校が企画した進学向上策を後押ししている。
さらに今年度は3300万円を計上し県北・沿岸地区の進学希望者の多い5校、医学部など難関大学や学部への進学希望者が多い6校を支援事業の対象校に指定した。これらの学校は、県からの助成金を活用し、合同で外部講師を招いた進学セミナーや進路指導講演会を企画。こうした事業には指定校以外の生徒も招いて全県的な合格率の底上げを目指している。8月と10月に行われた東北大など難関校を目指す進学セミナーには県央会場、県南会場合わせて約550人の生徒が参加した。
県教委は「教諭は自分の指導ノウハウを見せたがらないものだが、岩手は違う。全県挙げて協力している。生徒たちの希望を実現させるための取り組み」と強調する。予備校や塾がない以上、高校が全国の受験生と対等にわたりあえる環境を整えなければならない。ただ、大学合格者数を数値目標として掲げる取り組みが、目に見えない重圧になっていた感も否めない。
「少子化で大学の間口は広がり、大学を出たことが、必ずしも将来の幸せにつながるとは限らない時代になっている。なのに生徒も親も、それに気づかず、期待にこたえようと学校も必死に頑張っている。どういう人間を育てたいのか明確なビジョンが持ちにくくなっている」
「早朝登校して勉強する3年生のために担当教諭は朝7時には出勤、最後の生徒が帰る午後7時半過ぎまで残って面倒を見ている。今回のことで生徒との信頼関係が崩れるのが最もつらい」
必修科目の履修漏れが発覚した県立高校の関係者はそれぞれ複雑な胸の内を語る。「必修科目を履修させていなかったことに対して弁解の余地はない。だが、問題の背景にもメスを入れるべきではないか」。
大学進学率のアップと人間教育の狭間で揺れる教育現場に突きつけられた課題は重い。
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