2006年 11月 12日 (日) 

       

■  〈盛岡百景〉89 茣蓙九の城壁と川沿いの柳

     
  川沿いの城下町風情をたたえる茣蓙九の辺り  
 
川沿いの城下町風情をたたえる茣蓙九の辺り
 
  水の都と呼ばれるためには、川が流れているというだけでは物足りない。川沿いのたたずまいに、川と親しく向き合う市民の心根が表れていなければならないだろう。

  城下町盛岡の人々ににとって最も親しく接してきた川は中津川という人が多いのではないか。人それぞれに原風景や身近な存在はあろうが、都心を流れる中津川を目にする機会は多くの市民が持ち合わせているはずだ。そして上の橋付近から下の橋付近の中津川沿いは、盛岡で川の景観を代表するエリアとなっている。藩政時代から続く老舗の茣蓙九(ござく、森九商店)の建物は、城下町の風情を現代に残している。

  瓦ぶきの屋根にしっくい壁の土蔵、一部は板張りと、古くからの天然素材が使われている。川の護岸は石積みで、道は舗装されているが、ヤナギの木が枝を垂れる。物資輸送で盛んに水運が使われた江戸時代の城下町をも想起させる。

  茣蓙九は7棟の土蔵を含む店舗兼住宅の木造2階建て。江戸時代から明治の間に建てられた建物群で構成される。建物がつくり出す歴史的景観の価値から市の保存建造物に指定されている。

  くの字型の道に面した店頭側は格子の残る町家の姿を残し市民になじみの景観。屋敷の裏側であっても中津川の対岸から見ると川と一体性のある景観を編み出し、川沿いのなだらかな坂を作る道からの眺めも残したい風景だ。

  400年以上の歴史を積んできた盛岡の町。中津川の川沿いも時代時代の顔を残す。明治から大正の近代化としての旧盛岡銀行本店(岩手銀行中ノ橋支店)、今では懐かしさのある昭和の木造家屋、高度経済成長の中で建てられた鉄筋コンクリート造りのビル、日本が先進国の仲間入りをしてからの公共施設や文化施設、マンション、ホテルなど。盛岡城跡も岩手公園となり、川沿いの芝生広場はユリノキの木立や花壇、つり花かごなどで西洋化された景観に変わってきている。

  歩いて楽しむまちをうたい文句とする盛岡が、歩行者にとってほどよい幅の道を資源に生かさない手はない。建物の川側の表情を豊かにし、ウオーターフロントを充実させていく工夫をしてもいい。(井上忠晴記者)
 

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