2006年 12月3日 (日) 

       

■ 〈胡堂の父からの手紙〉88 八重嶋勲 徴兵猶予証書の送付がない

 ■137はがき 明治37年3月3日付

宛 東京市麹町区台町十九 三洲舘内
発 
前畧衆議院議員五名ノ処小田、遊田、高橋金治、阿部勇治、阿部徳三郎ノ五名当選ナルヨリ山本落撰(選)セリ、金員ハ来八日頃迄送金可致候、家内親戚ニモ異状(ナ)シ、右通知迄、早々
   三月三日       野村長四郎
 
  【解説】「前略衆議院議員の郡部の定員5名は、小田為行、遊田研吉、高橋金治、阿部勇治、阿部徳三郎の五名が当選。山本喜衛は落選した。金員は8日頃までに送金する。家内親戚にも異常ない。右通知まで。早々」という内容。
  父長四郎が推した山本喜衛の落選を、はがきで淡々と伝えている。
 
  ■138半紙 明治37年3月5日付
 
宛 東京市麹町区台町十九 三洲舘内
発 岩手県紫波郡彦部村大巻六三
前略三十六年徴兵猶豫証書(下附相成居候モノ)送付ナキニ付昨年継續ニアラス、証明書ニ依レハ本年更ニ入学相成居カ故昨年ノ事故止ミタル届ヲナシ、而シテ更ニ猶豫願スルノ必要有之、不都合ニ候間此状着次第送付可相成候、切迫致タルニ付大々至急ヲ要スル次第ナリ、ミキ曽テ佐比内ノ沼田方ニ縁談致置候処来ル七日差遣シ(ス)事ニ相成候、婚姻式振舞等ハ一切不致、タミエニ為送中野ノ叔父ニ夜分差遣シ(ス)事ニ候、右用事迄、早々
   三月五日      野村長四郎
    野村長一殿
 
  【解説】「前略36年徴兵猶予証書(下付されているもの)の送付がない。昨年の継続ではない。証明書によれば、本年は又別の学校に入学しているので、前の学校を止めたという届をして、更に猶予願いをする必要がある。不都合があるのでこの手紙着き次第、送付するようにせよ。期限が迫っているので大々至急要する。ミキ(長一の妹)予ねて佐比内の沼田方に縁談があったが、来る七日に沼田家に遣ることにした。婚姻式や披露宴等は一切やらず、タミエ(長一の妹、ミキの姉)に送らせ、屋号中野の叔父(長一の母の実家)に夜分送ってもらうことにしている。右用事迄、早々」という内
容。

  長一、23歳。徴兵猶予願いを毎年行わなければならない。期限が切迫しているが、その手続きの書類が長一から届かず、父がやきもきしている。ここ3年同じことを繰り返しているようである。

  長一の妹ミキが紫波町佐比内の屋号隠居、沼田家に嫁ぐのであるが、その当時、結婚式や披露宴等を行わないのが普通だったようである。

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