2006年 12月6日 (水) 

       

■  〈賢治の歌〉599 望月善次 きれぎれに歌うきら星

 きれぎれに歌ふきらぼし
  よせきたり
  砕くる波の青き燐光。
 
  〔現代語訳〕たくさんの小さなもの達がそれぞれに歌うように、無数の星が寄せて来て、まるで砕ける波の青き燐光(りんこう)のようです。

  〔評釈〕「歌稿〔B〕」「大正六年四月」四十二首中の四十一首目で「493歌」。「きらぼし(綺羅星)」は、「(闇夜などに輝く)無数の星」。なお「綺羅」は「綺羅=綾絹」、「羅=薄絹」が原義で、「綺羅星」も「綺羅星の如く」から成った語句。「燐」には「赤燐」と「黄燐」があるとのことで、「赤燐」は青白い光を発するのだという〔『新宮澤賢治語彙辞典』〕。連作的に見るならば、時間は、夕方になり、いよいよ星がきらめき出した光景を想像すればよいであろうか。「きれぎれ」に「細かい、たくさんのもの」の意味もあるので、「現代語訳」では、少しうるさ過ぎるような訳をつけておいた。「きらぼし」が寄せて来て、それが「波の青き燐光」だと受け止めるのが、賢治流である。
  (岩手大学教授)

本ページ掲載内容の無断転載を禁じます
ホームページに関するお問い合わせ、取材に関する情報は
E-Mail:hensyuu@morioka-times.com
盛岡タイムス宛てにお願いします