2006年 12月10日 (月) 

       

■  〈雑誌創刊号の話〉284 成ケ澤栄治 「特選街」

 昭和54年は、新雑誌ブーム年といわれます。

  そのはしりは、この年4月創刊のマキノ出版『特選街』(B5判・326ページ)と、5月創刊のマドラ社『広告批評』でした。

  これに乗じて、ジャンルを越えた多様な新雑誌の創刊・廃刊が相次ぐのでしたが、それらの中から6冊ほど取り上げてみました。

  本誌『特選街』創刊の辞は、「戦後30年をふり返ってみると、いつの時代にも日本人の最大関心事は、くらしの経済でした。長い間、日本人が苦しみ、悩み、最大の努力をしてきたくらしの経済。それの向上に役立つ雑誌づくりをしてみたいと考えはじめたのは、昭和40年ごろでした…(略)」と、述べるのです。

  昭和40年は、前年の東京オリンピックを経て、日本経済が高度成長路線をばく進していた時代です。おかげで、世の中が豊かになり物やサービスが潤沢になるにつれ、人々はくらしの中で経済的選択に迫られることになりました。

  そのころ小生も、収入に見合う選択は、ホンダのスーパーカブか、コロムビアのステレオかと迷ったことがありました。

  本物は何か、ベストはどれかと選びあぐねている人々の、そうした選択のため「くらしの中でベストを選ぶ新しい月刊誌」と、銘打つて創刊されたのが『特選街』でありました。

  特集「NO1を選びなおす」には、世界の一流品に断然まさる国産の逸品として、腕時計・自動車から包丁までの60品目を、専門家が検証するのです。

  例えば「ファミリーカー」では、性能と経済性の優秀さを世界中が認める国産車として、カローラ・サニー・シビックをあげます。ほかに特集は「銀行と証券会社をこう利用せよ」、「いいマンションがズバリ選べる新知識」など、解説して載せるのです。

  書籍出版については「価値ある本は財産的にも価値がある」と書くのです。

  過日、資源回収にするには惜しく、古書店に本を持ち込みました。店主とおぼしい年配の男性、さっと見て「これは売れない、ごみだ」と言うのです。昨今は本を生業とする者が、本を〓ごみだ〓と言うのです。

  そのまま持ち帰りましたが、怒りの後で哀しみが込み上げてきました。
(毎週日曜日掲載)
 

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