2007年 1月 1日 (月) 

       

■ 〈特集観光新時代〉老舗名物旅館「熊ケ井旅館」外国人客から信頼

     
  熊ケ井旅館の熊谷晴子さん  
 
熊ケ井旅館の熊谷晴子さん
 
  熊ケ井旅館(大沢川原3の2の5)は今年41年目。女将の熊谷晴子さん(63)が、厳しい旅館業界の中できりもりしている。同館を利用する客の多くは外国人。少なくなった旅館の良さを外国から来る客に紹介しながら、日本文化や盛岡らしさを伝えている。

  熊ケ井旅館は以前は下宿屋だった。「下宿屋は母が経営してましたが、わたしが23歳のとき改装して旅館に切り替えました。盛岡駅前の旅館の友達に言われて。部屋数は8室で25人が泊まれます。もちろん畳のある和室」と晴子さん。

  当時は市内に100軒を超す旅館があり経済成長の時代。同館も宿泊から忘年会、新年会とてんてこ舞いで稼働率100%の時代が続いた。しかし82年の新幹線開業を契機に客足は激減し閑古鳥が鳴くほどになった。

  晴子さんは「新幹線が来れば大変なことになると、あるコンサルタントが話していました。そのときはまさかと思い何の対策も考えていませんでした。それが新幹線が来てホテルが軒並み建ち、本当に大変な状態になりました。当旅館を利用してくれていた常連客はビジネスホテルに持っていかれました。市内でばったり会ったことも」と話す。新幹線開業で旅館業は一変した。

  対応策がないまま経営も厳しくなってきた。「どうしたらよいか考えあぐねていました。そんなときあるテレビ番組を見ました。当館と同じように苦しい状況にあった旅館が連携しジャパニーズイングループを組織し外国人を対象とした旅館に切り替え、生き残りを図っていました。わたしはこれだと思い、早速コンタクトし審査を受け加盟しました」と外国人対象の旅館にしたきっかけを語った。

  外国人を受け入れる旅館と決めても、同館ではこれまで通り。畳の部屋のままで看板には英語を表記したがほかには特別なことはしなかった。最初は数人だったが、次第に満室になることも。

  晴子さんは「特別なことは何もしません。英語も学生時代に覚えた単語や文を使うだけ。あとは身振りや手振りで十分。歓待の心があれば通じ合えます」と言う。

  これまでアメリカやカナダ、フランス、イギリス、エジプト、オーストラリア、スイス、台湾など世界40カ国以上から宿泊客を招き入れた。「個人や家族連れがほとんど。皆さん、旅館の建物、畳の部屋や和食に大変関心を持たれます。盛岡を拠点に数日滞在し、北東北を旅する人が多いです。日本が好きでゆっくりと旅を楽しんでいるようです。礼儀も正しいし旅とは何かを教えられます」と外国からのツーリストに学ぶと言う。

  そして親しくなれば「どうして日本人は古い伝統的な建物を残さないのかと言われます。ぜひ旅館を続けてくださいとも何度も言われました。オーストラリアの建築家は帰国したら日本の畳の部屋を作ったと言ってました。秋の紅葉の時期の岩手公園をカメラに収めた人も。また来てくれるリピーターもいます。自国の土産品もたくさんもらいました。日本人が忘れてしまった心があります。外国人に助けられています」と、感激しながら話す。

  「頑張って続けたいですね」と晴子さんは笑顔を見せていた。(電話651−3020)

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