2007年 1月 6日 (土) 

       

■ 〈英語ってどうなってんの?〉182 成田浩 作り手の側から見た英和辞典

 さて、辞典というきわめて限られたうつわの中に、その時代における英語の言語状況の全体をできるだけまんべんなく人々に知らせなくてはならないのです。そのことは執筆担当の語彙(ごい)について毎回考えることです。良心的執筆者ならそうなるはずです。その観点から、それらの資料を何度も注意深く読み、次の点を検討していきます。

  (1)従来の英和辞典に載っていないけれども、最近かなり使われ出している語はないか。

  (2)従来の英和辞典には載ってはいても、その語に新しい意味が生まれてはいないか。

  (3)従来の英和辞典には載っていても、もはや、その語がその意味では使われなくなってしまっている場合がないか。

  まず、これらをしらみつぶしに見ていきます。(1)、(2)についていえば、ある語について現実に多くの例があり、最新の英米の辞典にも載っているのに、既刊の英和辞典には載ってないというような場合があれば、記載しなければなりません。

  例えば、machineが、人間の代わりに作業をしてくれるものを意味し、いわゆるジュース、乗車券などの自動販売機(vending machine)を指すといった用法が圧倒的に多ければ、それを語義につけ加えることになるでしょう。そんなことにまで気を使うのかと思うかもしれませんが、そこに至りつくのに膨大な時間をかけるのが現実です。

  (3)に関していえば、執筆時に海外の新刊辞典では廃語になっているのに既刊の英和辞典には依然としてまだ載っている場合を見つけておきます。さらに、この作業の中で、新しく掲載予定とした単語や、新しく生まれた語義にどんな日本語がふさわしいか、また、それに最もふさわしい用例を決めていかなければなりません。どんな語義をつけるのがいいのでしょうか。それに最もふさわしい用例の条件は何でしょうか。

  (言語人文学会顧問)

本ページ掲載内容の無断転載を禁じます
ホームページに関するお問い合わせ、取材に関する情報は
E-Mail:hensyuu@morioka-times.com
盛岡タイムス宛てにお願いします