2007年 1月 15日 (月) 

       

■  〈賢治の歌〉637 望月善次 柏原夜を込め行けば

 〔かしはばら夜をこめ行けばうすあ
  かり天の川よりきたるなりけり〕
 
  〔現代語訳〕柏原よ。一晩中行くと薄い光が、天の川(の方)から来たのです。

  〔評釈〕「歌稿〔A〕」(「大正六年五月)四十五首中の三十一首目の「526歌」で、やはり「夜の柏ばら六首」中のもの。先に言及した「歌稿〔B〕524歌」の「かしはゞら/うすらあかりはきたるなり/みなみにわたる天の川より。」とほゞ同じ内容を示している。「歌稿〔A〕」の抽出歌が、そのまま散文にしてもよい順序になっているのに対し、「歌稿〔B〕」は、第二句・第三句の「うすらあかりはきたるなり」の結果がまず示され、その後「みなみにわたる天の川より。」とその起点が示されるように、屈折させた表現になっている。「麓の若駒たち」で言えば、「やがて二時半ころに起こされて、……いちめんの星空の下をまっ黒な雲につつまれた山に向かって歩いた。」にも対応する一首。

(岩手大学教授)
 

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