2007年 2月 2日 (金) 

       

■  膀胱がんワクチンを開発 岩手医大の藤岡教授ら世界で初めて

 岩手医科大学医学部泌尿器科学講座の藤岡知昭教授らの研究グループは、膀胱(ぼうこう)がんの場合のみ体内に発現する新規腫瘍抗原遺伝子を発見し、これを用いたワクチンの開発に成功した。膀胱がんは長期では再発率が高く、これまでの抗がん剤やBCGの膀胱内注入よりも抑制効果が高いという。この研究結果を同大の臨床現場に1日から導入開始した。


     
  会見する藤岡教授と中村教授(左から)  
 
会見する藤岡教授と中村教授(左から)
 

 この研究は藤岡教授、東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センターの中村祐輔教授、岩手医大付属病院薬剤部と共同で行われた。遺伝子レベルで膀胱がんの療法研究が行われたのは世界初で、中村教授は米国がん専門誌「cancer・research」に論文を発表するという。

  膀胱がんにかかった患者には、正常組織にほとんど見られない新規腫瘍抗原遺伝子「MPHOSPH」と「DEPDC1」の2種類が高頻度、高レベルで発現する。これらは膀胱がん細胞の増殖に関与する特異な遺伝子。

  藤岡教授らはゲノム包括解析に関する共同研究を通じて約2年前にこれらを発見。2種類が体内に発現し、日本人の人体に6割存在するHLA(ヒト白血抗原)24型を持つ患者に対してのみ効果のあるペプチド(2分子以下のアミノ酸からなる化合物)ワクチンを開発した。

  2種類の遺伝子を基に製造したワクチンを使うと、リンパ球が刺激される。体内をめぐり、散らばっているがん細胞を攻撃、遺伝子レベルで破壊する効果がある。

  国内の膀胱がん罹(り)患者は1975年の約4千人から99年には1万4千人に達し、年々増加している。全体の7割はがんの度合いの低い表在性といわれ、尿道を伝った切除手術で対応できる。

  それでも長期的には高い割合で再発し、度合いの高い浸潤がんに進行する。結果として膀胱を全部摘出しなければならなくなる。これまでは抗がん剤やBCGの膀胱内注入が行われたが有効性は低く、副作用もあるという。今回の発見、開発は既存の対処法に取って代わると藤岡教授らは期待している。

  今後は第1段階として6例を臨床研究し、ワクチンの人体への安全性を1年以内に確認する。第2段階では再発の防止効果があるかどうか2年以内に確かめたい考え。今回発見した2種類の遺伝子以外の発見も視野に入れている。

  藤岡教授は「この研究で膀胱を救い、患者のQOL(生活の質)を高める。全部摘出となれば人工膀胱をつくることになり、通常の排尿はできなくなる」と有用性を説いた。中村教授も「早期の免疫力を高める方法であり、ワクチンを最後の切り札ではなく、再発予防的に使う」と述べた。


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