2007年 2月 4日 (日) 

       

■  〈賢治の歌〉657 望月善次 夜明け方あぐ色の雲は

夜明方 あぐ色の雲は ながれるす
ちゃがちゃがうまこは うんとはせるす
 
  〔現代語訳〕夜明け方の灰汁色の雲は流れています。チャガチャガ馬コは一生懸命に走っています。

  〔評釈〕『あざりあ』第一号(大正六年六月中)「ちゃんがちゃがうまこ」八首中の最終の八首目で、やはり「歌稿」には採られていない。「あぐ色」は、漢字化すると「灰汁色」。〔ちなみに「灰汁」は、植物性の灰(木炭、わら灰など)を水に浸した上澄み液が原義。(『マイペディア』)〕。結句の「うんとはせるす」を昨日考察した「はしむっけのやみのなががら 音がして/ちゃがちゃがうまこは 汗たらし来る」と重ねて考察すると、「汗たらし来る」の原因を、「うんとはせるす」だとすれば、一応は、整合性のある説明が可能となる。また、こうした説明は、現在の着飾った馬やその上に乗る人々を見せるチャグチャグ馬コではなく、馬を駆けさせて神社参拝したという当時の様子とも合致する。

(岩手大学教授)


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