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■149巻紙 明治37年5月18日付
宛 東京市小石川区竹早町百番地猪川方
発 岩手県紫波郡彦部村大巻
前略写真到達相成候、容皃(貌)見ルニ疲労致居様ニ相見得候、多分運動不足之結果ナラント被察候、此場合散歩ノミニアラズ労力等云フ運動可致、自轉車乗ナリ、馬乗ナリ、柔術ナリ、釼術ナリ、角力ナリ、嗜好ノモノ可致候、
大学入学手續未タ官報ニ不相見候、其地ニ於テモ克ク聞配時期ヲ不脱ル様可致候、敢テ□家抔トノ好ム処ニ無之候得共近頃徳田、見前村邊ヨリ米國ニ修学セシモノ弐人有之由(本年三月頃ナル由)学資月三十円ト仮定シ其実午前中労動(働)シテ午后ヨリ学業スル事故午前中ニ弐円ヲ得ル由、未タ一金ノ支送リヲ不請求ル由ニ候、
中学卒業生モ余リ價打ヲ落(シ)、入学希望者多数アリテ容易ニ入学スル事不能ル為メ目下盛岡ニテ教員トナルモノ甚タシキハ巡査ニナルモノ澤山有之由ニ候、
本年之入学モ容易ナラサル事ト被思候得共、何分上位即上級ノ人又ハ東京ニテ有望聞ヘアリ(ル)伸(紳)士等ニ近付キヲ得テ将来引立ニ預フ(カ)ル途有之候ハゝ、意見モ聞キ指揮モ得テ身ノ職業ニ期スル方針相成度候、余者後便ト申残ス、早々
野村長四郎
五月十八日
野村長一殿
日露運記アルナラ早ク送付スベシ、
本年モ入学之見込ナキト推察スルアラバ帰国スル方可然候
【解説】「前略、写真が到着。容貌を見るに疲労しているように見える。多分運動不足の結果であると思われる。この場合散歩だけではなく体を使う運動、自転車、乗馬、柔術、剣術、相撲等好みの運動をするべし。
大学入学手続きいまだ官報に見えない。その地でよく聞き配り時期を逃さないようにせよ。あえて□家など好むところではないが、近頃徳田、見前村辺りより米国に修学した者2人あるということである。(本年3月頃のようである。)
学資月30円と仮定して、その実午前中労働し2円を得て、午後より学業する、とのことで、いまだ1円の仕送りの請求をしていないということである。
中学卒業生も余り、値打ちを落とし、入学希望者も多数あって容易に進学することが出来ず、目下盛岡で教員になる者、甚だしいのは巡査になった者がたくさんあるということである。
本年の入学も容易ならざることに思われるけれども何分上位、即ち上級の人または東京で有望の聞こえのある紳士等に近づきを得て将来引き立てに預かる途があるならば意見を聞き、指揮を得て身の職業に期する方針がなるようでありたい。余は後便に申し残す。早々」という内容。
長一の写真が届き、その変わった容貌(ぼう)を見た父は、長一は疲労がたまってやつれたことを察知し、勉強にのみ精出さずに散歩のような軽い運動ではなく、体を動かす運動をするよう促している。実際この後長一は体調を崩し療養生活をするようになるのである。
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