2007年 2月 12日 (月) 

       

■  〈岩手競馬〉330億円融資へ説明会 知事出席し県民フォーラム

 多額の累積赤字を抱える県競馬組合への構成団体からの支援融資について説明する「明日の岩手競馬を考える県民フォーラム」が11日、盛岡市のアイーナで開かれた。前日の奥州市会場に続く開催で約180人が参加。組合管理者の増田知事、副管理者の谷藤裕明盛岡市長らが県、盛岡、奥州両市からの約330億円の融資について理解を求めた。会場からは経営に対する見通しの甘さや管理者の責任を追及する声が相次いだが、融資の是非や今後の地方競馬全体のあり方に関する突っ込んだ議論は少なかった。「岩手の競馬はほかとは違う。地域振興に結びつけるべき」などと馬事文化や歴史の観点から存続を求める声も目立った。


     
  岩手競馬県民フォーラムで融資について説明する増田知事  
 
岩手競馬県民フォーラムで融資について説明する増田知事
 

 フォーラムは組合と構成団体の県、盛岡、奥州両市の主催。谷藤市長は「市は競馬組合から、これまでに81億円に上る配当を得、教育や福祉などにも活用してきた。市民の理解をいただき、改革を進めながら事業継続の道を探りたい」とあいさつした。

  増田知事は新年度以降に赤字が出れば、年度途中でも競馬を廃止する「存廃ルール」も盛り込んだ「新しい県競馬組合改革計画」を説明。「競馬を廃止すれば構成団体の負担額は372億円に上る。進んでも退いても地獄だが、これ以上、赤字を増やさないルールの下での融資」と理解を求めた。「すべての責任は組合の最高管理者であるわたしにある」と自身の責任についても言及し「関係者一丸となって再生に取り組んでいきたい」と決意を示した。

  パネル討議では県立大総合政策学部助教授の倉原宗孝さんの司会で、馬をめぐる地域まるごと体験交流連携事業実行委員会代表の玉山哲さん、いわて生協理事の金子成子さんが増田知事、谷藤市長と意見交換した。

  金子さんは「県民の暮らしが厳しくなっている中、競馬に向けられるものが、今まで以上に大きくなるとは考えられない」と新計画の見通しの甘さを指摘。「今回の計画は問題を先送りするだけではないか。事業存続を前提とせず、廃止も含めてきちんと検討すべき」と述べた。

  一方、玉山さんは旧馬検場を利用したイベントの開催や馬車運行などの取り組みを紹介。「地方都市の個性化にマッチングした取り組みと多くの励ましの声もいただく。これまでの経営に対する批判はその通りだと思うが、地域が連携し官民が協働する中で競馬を地域振興につなげていけないか」と提言した。

  谷藤市長は「競馬は100億円の経済効果をもたらしている。これが突然、なくなれば大きな損失。廃止すれば、すべてが終わりではなく新たな負担も生じる。総合的に考えて一番、負担が少ない方法で事業を継続していくことが望ましい」と重ねて理解を求めた。

  会場からは「赤字が明らかになったのは、ずいぶん前。見通しがことごとく外れてここまで来た。介護、医療、教育と公的責任でやってほしいことはたくさんある」と多額融資を危ぐする意見や「経営の内容を明らかにし、もっと県民の意見を聞くべきだ」といった要望が出された。

  「今、競馬を廃止するのはおかしい。廃止するならば、それに代わる地域事業を立ち上げなければならない。競馬を廃止した他県では、地域経済が落ち込み、やめないほうが良かったという声が聞こえてくる。岩手競馬にはG1レースが2つもあり、県外からも多くの競馬ファンが来ている。ほかのことでも地域にお金を落としてもらえるような努力をもっとすべき」との意見や「てい鉄を作る人や調教師は育成するのに30年かかる。競馬はまさにアグリカルチャーで長い文化伝統の上でしか成り立たない」「かつては御料牧場もあった岩手の競馬は、ほかとは違う。歴史、文化をきちんとひもといて競馬の役割や位置付けを明確にすべき」と馬事文化の継承の観点から存続を求める声も聞かれた。

    ◇  ◇

  奥州市では10日に開かれた。市民ら259人が聴講。識者によるパネルディスカッションで金野静一県文化財愛護協会顧問、石川悦哉水沢青年会議所直前会長、増田知事、相原正明市長が意見を交わした。

  増田知事は、退任後の新知事の競馬施策の問いに「わたしが言えるものではない」としながら「今時点で明確な方向が出ていない。今の状況を理解の上、新しい政策を展開してほしい」と述べた。


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