2007年 3月 1日 (木) 

       

■  〈賢治の歌〉681 望月善次 雲よどむ白き岩礁

 雲よどむ
  白き岩礁
  砂の原
  はるかに敷ける褐の海藻
 
  〔現代語訳〕雲が止まって動かない下の白い岩礁のある砂原よ。そこに見渡す限り敷きつめられている褐色の海藻よ。

  〔評釈〕「大正六年七月より」〔「歌稿〔B〕」〕百十一首中の二十三首目の「562歌」。結句は、「びらうど」からの推敲(すいこう)。また「歌稿〔A〕」には「褐のびらうど」「びらうど昆布」等の書き加えも。「岩礁」は「礁」自体が、「石+焦(人目につかない、隠れている)」で、「水中に隠れている岩」を示し、「岩礁」としての意味も同じ。垂れ込めて動かない「雲」、(その下の「海」)、コントラストをなす白い「岩礁」、前面に広がる「砂原」、そこに敷き延べられている褐色の「海藻」、「岩礁」・「砂原」・「海藻」と体言を並べただけの、単純な作品の誹(そし)りは免れないだろうが、役者はそろったのである。
(岩手大学教授)


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