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むかし。とある、隣りあった国と国が戦争に明け暮れていたと。おたがいに兵を費やし、国力は疲弊し、それぞれの国王は途方に暮れていたんだと。「赤の国」の王子は勇ましく徹底抗戦を叫び、かたや「青の国」の王子は戦争そのものに疑問を持っていたが、王子同士の一騎打ちであっけなく勝ってしまった青の国の王子は、その厭世(えんせい)的態度を責められて出奔。あてどない戦いに明け暮れようとする故国を憂えた王子は、一計を案じたんだと…。
誰も個人としては争いは好まない、はずです。でも、利益? 意地? なにかが個人を圧殺し、結果、暴走装置と化した国家のために、たくさんの犠牲が強いられる。勇敢な者ほど、憑(つ)かれるようにして戦地へ赴き、いのちを落としていく。そうでないものは、臆病、惰弱とののしられ、そして待っているのは同じ運命。
主人公は冷静に時を読み、智恵をしぼり、幸運も手伝って、本作はハッピー・エンドで終わります。現実はこんなカンタンなものじゃない、ということは承知の上、それでも、希望を捨てないことだけは刻んでおきたいもの。フランス、若手作家による寓(ぐう)話絵本です。
【今週の絵本】『たったひとりの戦い』A・ヴォージュラード/作・絵、徳間書店/刊、1995円(税込み)7歳〜(1998年)
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