2007年 3月 2日 (金) 

       

■  岩手医大で生体肝移植手術の男性が退院 執刀の教授ら会見

     
  本県初の生体肝移植手術の意義について説明する若林剛教授(左)と鈴木一幸院長  
 
本県初の生体肝移植手術の意義について説明する若林剛教授(左)と鈴木一幸院長
 

 岩手医科大学附属病院(鈴木一幸院長)で、本県初の生体肝移植手術を受けた県内在住の50歳代の男性が1日、退院し、執刀医の同大外科学部長の若林剛教授と鈴木院長が記者会見した。男性はC型肝炎を患い、肝硬変から肝細胞がんを発症。1月15日、20歳代の息子の肝臓の約60%を移植する手術を受けた。術後、拒絶反応や後出血などの合併症もなく良好に経過。約3カ月間の自宅療養後、インターフェロンによるC型肝炎の治療に臨む予定という。肝臓の一部を提供した息子も皮膚の炎症による発熱などの症状は見られたものの術後、約4週間で退院し、現在は職場に復帰している。

 若林教授は「術後6週間での退院は同様の事例の中でも早いほう。移植スタッフの絶大な協力の下で手術が成功した。地元で移植手術が受けられる環境が整ったことは患者様にとって大きな利便となる。手術例を重ねることで合併症や感染症への対応など病院の総合力も上がっていくはず」と語った。

  親族から肝臓の一部分を移植する生体肝移植は国内で既に3千人を超す患者に対して行われており、成人に対する移植成績は5年生存率、10年生存率とも約70%とされる。本県の医療施設では、移植手術ができる外科医をはじめとしたスタッフのチーム医療体制が整わず、これまで実施されてこなかった。

  県内の基幹病院38施設を対象にしたアンケート調査(14施設が回答)では、肝移植に適応する県内の患者は現在少なくとも71人に上る。同病院の体制が整ったことで、地元で移植手術を受けられる可能性が広がった。2例目以降の手術についても準備を進めているという。

  生体肝移植の費用は患者、肝臓提供者の治療費、入院費を含め1千万円以上だが、保険適応疾患の移植手術の場合は高額療養費制度の対象で、患者や家族の実際の負担は数十万円で済む。若林教授は「患者に移植手術を提案する医師はまだ少ない。今回の手術が、生体肝移植を広く知ってもらうきっかけになれば」と願っていた。


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