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基督の
さましてひとり岩礁に
赤きひとでを見つめゐるひる
〔現代語訳〕キリストのような様子をして一人岩礁に赤いヒトデを見つめている昼よ。
〔評釈〕「大正六年七月より」〔「歌稿〔B〕」〕百十一首中の二十五首目の「563歌」の斜め下に書き込まれた「563・564a歌」。初句に対応する語句か、「耶蘇(やそ)に似」の書き込みがあり、結句も「みつめたる/ある」を経ている。「基督」は、「キリスト」の音訳。賢治とキリスト教との関係は、「オホーツク挽歌」や『銀河鉄道の夜』の十字架、賛美歌やタッピング師との交わり等もあるが、信仰面をも含むものか、単なるモダニズム的意匠であったかは、微妙な点も含む。したがって、「基督のさまして」にどうした「さま」を想定したかも単純ではないが、釈迢空の「基督の 真はだかにし血の肌 見つつわらへり。 雪の中より」〔『倭をぐな』〕をも彷彿(ほうふつ)させたことだけは記しておきたい。
(岩手大学教授)
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