汗ゆゑに
青く縞立つ光ぞと
あきらめくれば萱草咲けり。
〔現代語訳〕汗のために青く縞(しま)のように立つ光だと、諦めて(ここに)来ると萱草(かんぞう)が咲いているのに気づきました。
〔評釈〕「大正六年七月より」〔「歌稿〔B〕」〕百十一首中の二十八首目の「566歌」。初句は、当初「歌稿〔A〕」を踏襲した「つかれゆゑ」(「歌稿〔A〕」では「つかれ故」)。また、第四句も「歌稿〔A〕」を引き継いだ「行けば」であった。なお、「萱草(賢治の表記は、誤記の「宜」)」は、「歌稿〔A〕」では「くわんぞう(ママ)」となっているので、「カンゾウ」の訓(よ)みを採りたい。カンゾウは、ユリ科の多年草。日本では、ヤブカンゾウ、ノカンゾウ、ハマカンゾウが野生するというが(『マイペディア』)、それ以上は植物音痴の評者には無理。「青く縞立つ光」という光の把握などは、いかにも賢治的なのだが、抽出歌の範囲で、「あきらめ」の具体を特定するのはこれまた無理。
(岩手大学教授)
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