子育てを頑張っているお母さんに、お兄ちゃんが質問しました。「ねえ、ぼくと弟と、どっちがかわいいの?」
弟は、積極的で、いつでもすぐにお母さんの膝(ひざ)を占領してしまいます。お兄ちゃんは、いつでも我慢して、少し離れたところでひとり遊びをしています。
そして、弟が膝から離れると、こう聞きにくるのです。「ねえ、ぼくと弟とどっちがかわいいの?」
そのたびに、お母さんはこう答えます。「どっちも同じくらいかわいいよ」
ところが最近になって、聞きにくる回数が多くなりました。「ねえ、ぼくと弟とどっちがかわいいの?」
いつものように答えても、すぐにまた聞きにくるのです。
「ねえ、ぼくと弟とどっちがかわいいの?」
そこでわたしに相談に来たのでした。
わたしにも、名案はありません。「2人とも、どっちも同じくらいかわいいですよ」が一番の答え方だと思います。
しばらくして、はっと気が付きました。お兄ちゃんが問題にしているのは「弟が膝を占領している時間」なのだと…。
わたしはお母さんにこう伝えました。
「弟の○○ちゃんも、お兄ちゃんも、どっちも同じくらい大好きですよ」
「○○ちゃんをだっこしている間中、いつもいつも、お兄ちゃんのことをかわいいかわいいと思っているんですよ」
それ以来、お母さんへの質問はなくなったということです。
いつものように、弟が、お母さんの膝を占領しています。
いつものように、お兄ちゃんは、離れた場所で遊んでいます。
お兄ちゃんが、ちらりとお母さんの方に目をやりました。
いつもと違うのは、お兄ちゃんがこちらを向くたびに、お母さんがお兄ちゃんに向けて「お母さんの思い」を笑顔に込めて、やわらかにやわらかに発信しているところです。
(盛岡市教育相談員) |