2007年 3月 8日 (木) 

       

■  〈校長室の窓から〉142 野口晃男 ぼくと弟とどっちがかわいいの?

 子育てを頑張っているお母さんに、お兄ちゃんが質問しました。「ねえ、ぼくと弟と、どっちがかわいいの?」

  弟は、積極的で、いつでもすぐにお母さんの膝(ひざ)を占領してしまいます。お兄ちゃんは、いつでも我慢して、少し離れたところでひとり遊びをしています。

  そして、弟が膝から離れると、こう聞きにくるのです。「ねえ、ぼくと弟とどっちがかわいいの?」

  そのたびに、お母さんはこう答えます。「どっちも同じくらいかわいいよ」

  ところが最近になって、聞きにくる回数が多くなりました。「ねえ、ぼくと弟とどっちがかわいいの?」

  いつものように答えても、すぐにまた聞きにくるのです。

  「ねえ、ぼくと弟とどっちがかわいいの?」

  そこでわたしに相談に来たのでした。

  わたしにも、名案はありません。「2人とも、どっちも同じくらいかわいいですよ」が一番の答え方だと思います。

  しばらくして、はっと気が付きました。お兄ちゃんが問題にしているのは「弟が膝を占領している時間」なのだと…。

  わたしはお母さんにこう伝えました。

  「弟の○○ちゃんも、お兄ちゃんも、どっちも同じくらい大好きですよ」

  「○○ちゃんをだっこしている間中、いつもいつも、お兄ちゃんのことをかわいいかわいいと思っているんですよ」

  それ以来、お母さんへの質問はなくなったということです。

  いつものように、弟が、お母さんの膝を占領しています。

  いつものように、お兄ちゃんは、離れた場所で遊んでいます。

  お兄ちゃんが、ちらりとお母さんの方に目をやりました。

  いつもと違うのは、お兄ちゃんがこちらを向くたびに、お母さんがお兄ちゃんに向けて「お母さんの思い」を笑顔に込めて、やわらかにやわらかに発信しているところです。
(盛岡市教育相談員)

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