今では、英米人の文化を受け入れてそれに合わせることが異文化理解であり、国際化だと思っている人はもういないと思います。でも、英語は国際言語だと言いながら英語と英米文化を一体としてとらえ、これを受容し、英会話でもネーティブ並みでないといけないと思いがちです。
でも、ちょっと立ち止まって考えてみると、大阪弁は日本語として「間違い」でしょうか。秋田弁は「間違い」でしょうか。これらは共通語との「違い」として認識されています。ジャパニーズ・イングリッシュ(ニホン英語)は英米語や多くの地域英語からみて間違いなのでしょうか、それとも地域英語の一つなのでしょうか。
他の地域英語の話し手と違って私たち日本人はジャパニーズ・イングリッシュを間違い英語だと思いがちです。ブロークン・イングリッシュなどと言ったりして恥ずかしがります。たしかに「ニホン英語」という言語体系はないし、その文法書があるわけでもありません。アジア、アフリカなどの地域英語もその点では事情は似ています。
ケニア(東アフリカ)の人は、badもbirdもbudも同じ音です。ニホン英語でfがフに、thがスやズになったりするのと同じです。インド英語では、Wednesdayがウエドネスデー、darkがダルクなどとなるそうです。インドネシア諸語であるマレー、シンガポールの言語には動詞や名詞の反復現象があります。
現地語でberjalan-jalan(下記の参考文献より)は「歩き回る、散歩する」で、jalanは「道」という意味です。これが英語に転移した例を本名信行氏(下記)が挙げています。〓Play-play, no money. Work-work, no leisure. Combination is better.(遊んでばかりいると金がなくなり、働いてばかりいると楽しみが持てない。ものごとは中庸がいいね)だそうです。
また、エアコンをつけたり切ったりすることをCan you on (off ) the air- con?のように、onやoffを動詞に使うこともあります。これだと、偶然にも、日本人が「オンにする」とか「オフにする」と言うときの感覚にそっくりです。地域英語について書いたものを見るといろいろあります。
(言語人文学会顧問)
参考文献 本名信行著『世界の英語を歩く』集英社新書、2003.James Neil Sneddon. Indonesian , A Comprehensive Grammar. Routledge, 1996.
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