2007年 3月 10日 (土) 

       

■ 〈阿部陽子の里山スケッチ〉53 三ツ森山(みつもりやま、640メートル)

     
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  1732年の記録には、斜面途中から走りくだった溶岩が扇状に広がり、岩手山焼走りを形成したとある。その日、その瞬間、三ツ森山はこころをこめて念じたことだろう。−−「その溶岩流、止まれ!」

  八幡平市西根に位置する三ツ森山は、岩手山の最東端でふんばり、斜面途中から噴出したマグマが、襲いかかる寸前でマッタをかけた。わずか600メートルほどの高みでありながら、岩手山と真っ正面に向きあう。それだけに、端正で柳眉(りゅうび)な大斜面を、おもう存分ながめられる絶好のポイントでもある。

  岩手の春は雪形とともにやって来る。それまで白一色だった山肌に、いち早く、黒いウロコが駆け上がっていく。

  その時だ、吐きだしたマグマや水蒸気の噴火口が二つ、白い三日月のおぼろ状にフワーッと浮かぶ。ほんのつかのま、早春のため息は音もなく刻印される。
 
  盛岡から国道282号を北上。道の駅にしね先の信号を左折し、鹿牧場を通過してすぐカーブを左折。そこから焼走り駐車場までは、3キロの快適なドライブコースが続き、あっという間に標高550メートルまで走りあがる。

  まず南峰(619メートル)を目指す。駐車場から今来た道を徒歩で500メートル戻り、大きく切通したコンクリートの右側土留め上部にあがる。右斜面ヤブの中のかすかな踏跡を見落とさないこと。南へ10分で、さびた鉄やぐらのあるピークに着く。

  鉄やぐらは、国土地理院の四等三角点、八幡平市西根と滝沢村を分ける境界標、そして主三角点の三つの石柱を囲み、三角点空間をしたてていた。西に岩手山焼走り溶岩流(国指定特別天然記念物)と二つの噴火口がくっきり分かる。これから向かう北峰は、北北西に見えた。

  中央峰へは、コンクリートの土留めまでもどって対面側の林道に進入、5分でY字路は左に。ピタリと北にあわせた磁石をたよりにヤブの南斜面に取りつく。あたりをうかがいササや低木帯をこいでいくと、亀のように平たい大岩の下に主三角点があった。およその見当で、ここを中央峰(623メートル)と決めこむ。

  北の方角にこれから行く北峰が見え、こころ強い。いったん鞍部へ下り、急な斜面を登りつめ、三等三角点のある山頂に着く。あの亀岩から20分かかった。

  北峰のみ登るなら、いこいの村を起点にし、林道へ1キロ進入した方が分かりやすい。あずまや、もみじ谷上部へ。池のそばに設置された看板「三ツ森登山口」を左折。500メートルほど山路を歩き、沢をわたって古い林道を100メートル行くと、左に尾根への取り付きがある。いこいの村より北峰を往復して2時間30分かかる。

(版画家、盛岡市在住)

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