2007年 4月 9日 (月) 

       

■  〈知事選〉達増氏が初当選

     
  はやばやと当確し万歳三唱する達増氏(左から3人目)ら  
 
はやばやと当確し万歳三唱する達増氏(左から3人目)ら
 
  第16回統一地方選の前半戦となった知事選、県議選は8日投票が行われた。即日開票の結果、無所属の新人5人が戦った知事選では民主の推薦を受けた前衆院議員達増拓也氏(42)が45万4135票を獲得、他の4候補を圧倒して初当選した。3期12年の増田県政から達増県政へと変わる。県民の負託を受けた新しい岩手のトップリーダーは課題山積の岩手に希望王国を築けるのか。県議選(総定数48)では、民主が推薦を含めても議席が目標の過半数に届かず、民主党籍を持った知事は微妙なパワーバランスとなる県議会の党派対決にさらされ、当面は夏の参院選をにらんだ攻防の中、至難に直面することも予想される。次点の前滝沢村長柳村純一氏(56)=自民推薦=は15万8881票と達増氏の3分の1にとどまり、前県議ザ・グレート・サスケ氏(37)、いわて労連前議長菅野恒信氏(61)=共産推薦=、盛岡市の会社役員芦名鉄雄氏(61)は浸透できなかった。県議選は定数3減の17選挙区に75人が立候補し、無投票当選の宮古と久慈(ともに定数2)を除く15選挙区の44議席を71人で争った。党派別の獲得議席は民主が推薦を含め22、自民が同じく13、岩手政和会が4、社民が3、公明と共産が各1、政党推薦を受けない無所属が4となった。知事選の投票率は、現職の増田知事と共産党新人の一騎打ちとなった前回4年前の68・71%を0・14〓下回る68・57%。(8面に県議選の選挙区ごとの開票状況、9面に知事選、10面に県議選関連記事)

 知事選はポスト増田(寛也知事)の座をかけ5人が戦った。組織力と前哨戦の戦いぶりにより達増氏が有効投票数の過半数を取り、出遅れた他陣営を圧倒した。民主党は多選弊害から知事選は3期12年までの党方針の一点により、早い段階で今知事選は増田知事の不支持と独自候補擁立を宣言。誰を立てるかと衆目を集める中、達増氏は昨年8月、知事選への出馬を表明し、すぐに全県への浸透に動き出した。

  もともと民主支持の厚い岩手で、衆院4回当選の1区はもちろん、選挙区選出の国会議員を出している3区と4区の衆院議員、全県下の参院議員、県議の後援会などを足がかりに組織の構築を図った。さらに自民の基盤が根強い2区でもこまめに足を運び、着々と浸透。昨年末に後援会連合会(高橋令則会長)を設立し、告示前の段階で県内を8巡ほどし、ほぼ1人旅の前哨戦となった。

  議員を辞職せず、地方と中央との格差に象徴される岩手に広がる閉そく感を突いて国政野党の立場から政府・与党批判の論調で県民世論を喚起。増田県政3期目に大きく顕在化した財政悪化など県政に抱く県民の危機意識が、増田知事の不出馬表明以後に表れてきた県政を改革させる新知事への期待感へと静かに変化し、その期待は達増氏に集まった。

  3月になって出したマニフェストの岩手の危機を希望に変えるコンセプトも、そんな県民意識を感じ取ってのものだった。告示後も他候補に影を踏ませさせないようなリードを終始保つ危なげない戦いで、選挙期間中、小沢一郎代表の応援はゼロ。公認候補並みの支援態勢を公言していた党県連も県議選告示とともに、国会議員が県議選の運動へ完全にシフトを変え、達増氏も終盤は激戦の県議選で民主系候補の支援に力点を置いた遊説を組む余裕すらあった。

  柳村氏出馬の背景には民主色の強い県政になることへの危機感があった。年明け早々、県北・沿岸地域の市町村長有志が、昨年11月に滝沢村長を3期で引退し「浪人」の身だった柳村氏に出馬を打診。独自候補を擁立できないでいた自民党筋も同時に動き、民主の強い岩手で「非民主」を旗印に自民が乗って推薦した。ただ、国政与党を組む公明にすら推薦を得られず非民主勢力を結集できなかった。

  市町村有志が政治団体「新しい岩手を創造する会」(代表・稲葉暉一戸町長)を結成。柳村氏は同会を基軸に街宣活動に県内を回った。自民関係者としてはこれまでに経験のない小部隊での街頭演説中心の選挙戦を展開。政策は課題山積の県政の転換を基本に、無党派層を含め政策勝負に出たが、政策を浸透させる基盤を機能させることができなかった。国政とのねじれた関係の修復を説いたが、雇用をはじめとした景気などが、政府・与党の政策に対する不満となって、陣営に逆風となったことは否めない。

  サスケ氏は無党派層の吹き込む風を期待した戦いだったが、告示4日前の出馬会見に至るまでに何度も意欲を示しながら、態度表明を引き延ばしたことで、勢い付けを逸機。4年前の県議選出場のようなセンセーショナルさはなりを潜めた。

  菅野氏は明るい民主県政をつくる会(渥美健三代表)が擁立。増田知事が誕生した知事選以来となる革新系無所属候補となったが、共産党支持層以外へ浸透できずじまい。憲法改正への動き、県民生活の悪化などの政策を論争する機会もほとんどなかった。

  芦名氏は5回目の立候補で初めて、盛岡市以外の選挙区を経験した。知名度はなく、実質、単身の選挙で全県への浸透を図るのは困難だった。

  今知事選は、4年前にマニフェストを掲げた先達として、岩手でのマニフェスト型選挙の熟度も注目された。各候補がマニフェストを意識した公約を出したが、事後の「検証と評価」がしやすいマニフェストの特徴を出していたとは言い難い。達増氏が前哨戦から大きくリードしたこともあり、政策に対する県民の関心が大きく広がるための本格的な政策論争には至らなかった。有権者の選挙に対する意識の大きな変化が見られなかったことから、今後、県政に対する県民の参画意識の高揚は大きな課題として残った。 

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