〔うす月にきらめき踊るをどり子の
鳥羽もてかざる異形はかなし〕
〔現代語訳〕仄(ほの)かな月の光にきらめいて(剣舞を)踊る踊り子(達)の、鳥の羽をもって飾っている変わった形は、悲しさも含めて不思議に心を引きつけてやまないのです。
〔評釈〕「大正六年七月より」「歌稿〔A〕」〕百三首中の五十三首目の「595歌」で、「上伊手剣舞連四首」中の三首め。「歌稿〔B〕」には、対応する作品がない。例えば「593歌」の下句は「異形を見れば こゝろ泣かゆも。」となっていて、話者が「異形」に感動した事実は示されているが、(短詩型の宿命とはいえ)「異形」の内実は描かれていなかったのが、抽出歌においては、「鳥羽もてかざる」が加えられて、その点具体化している。また、この描写は、後年の詩「原体剣舞連」の「こよひ異装のげん月のした/鶏の黒尾を頭巾にかざり/片刃の太刀をひらめかす/原体村の舞手(おどりて)たちよ」にも対応している。(「剣舞連」につけている近接地名には、他に「種山原」もある。)
(岩手大学特任教授) |