記録的暖冬と言われた今年の岩手の冬、いつもならバイク乗りにとって長いシーズンオフも、今シーズンばかりはバイク環境がとても近かったのである。いつもならガレージで数カ月間鎮座しているはずなのに、私の愛機は冬の間に何度火を入れられたことだろう…
「記録的」という言葉から、一生涯で2度と経験することができるはずがないなどと勝手に判断すれば、私は元旦から初詣でに娘と一緒にバイクで初乗りをしたいなどと考えるのである。
無謀といえばその通りなのだが「記録的」という言葉に私はとても興味を感じるのであった。40代になってから私は記憶と同じように記録も残すバイクライフを送りたいと思い始めた。私の興味という刺激はそんなところからきているのかもしれない。人生も半分を過ぎれば、なぜか先のことを貪欲に考えるようになる。
年を重ねるたびに今まで感じなかった自然や物に対しての感情移入が強くなるのだ。職業柄ということもあるだろうが、私の場合、刺激は時にトライアルすることから生まれることだってある。
北国の元旦にバイクが走る光景など誰が想像するであろう… これこそが今まで私が経験したことがない、一番身近にして成せることができないことだったのである。
冷たい北風を受けながら走る私は、暖冬という季節の悪戯(いたずら)にバイク乗りとして感謝せねばならないと思った。季節感の錯覚をさせるような冬は、何度となく花が咲いた福寿草やフキノトウを冷たいなごり雪が覆うのである…
(切り絵師「紙の単車屋」経営、紫波町犬吠森字間木沢30の26、電話019−672−2543、URL http://www.kamitan.com)
(毎月第1、第3水曜日掲載) |