2007年 4月 23日 (月) 

       

■  滝沢村議会に初の女性議員が誕生

 「女性を村政へ」。選車から訴える声が村内に響いた。滝沢村で初の女性村議誕生に向け、今回の選挙で2人の女性候補が出馬した。大沢地区から出馬の佐藤美喜子さん(61)と巣子地区から出馬の佐藤澄子さん(51)は、ともに保育園長の経歴を持つ。訴える層も重なったが、選挙ではそれぞれのスタイルで運動を展開。2人とも見事初当選を果たした。

 滝沢村は人口5万人を超え、議会定数も22と他市町村と比較しても決して少なくはない。しかしこれまで女性が村議となることはなかった。街頭演説に耳を傾けていた村内の50代の主婦は「人口の半分は女性なのになぜ今までいなかったのだろう。子育てをしながらいろいろな社会を見てきた女性ならではのきめ細やかな視点がある。あとの人に続くような道筋をつけてほしい」と女性候補の活躍に期待した。

     
  「村づくりは人づくり」を掲げ、初の女性村議となった佐藤美喜子さん  
 
「村づくりは人づくり」を掲げ、初の女性村議となった佐藤美喜子さん
 
  美喜子さんは新人の中でも最も早く出馬の意思を表明し、あいさつ回りを始めた。選挙戦では自らが副代表を務める滝沢未来塾の支持を受け、「村づくりは人づくり」からと村内全域で精力的に運動を展開した。

  公約には女性の目線で▽安心して生み育てられる環境づくり▽男女がともに支え合う地域づくり▽いつまでも健康で地域に尽くすことができる人づくり−を掲げた。

  78年に姥屋敷保育所の保育士になると、昨年3月に定年退職するまで、ふうりん、巣子、鵜飼、川前、南巣子と村内の保育園長を歴任。退職後はのんびり旅行をしようと考え、計画も立てていたが、周囲から女性議員誕生のために尽力してほしいと頼まれた。

  「選挙は大変。生やさしいものではない」。当初は反対した夫浩一さん(62)は、家族会議の末、本人の意思と息子の「いいんじゃないか」という言葉に、選対本部長として挑戦を後押しすることに決めた。

  美喜子さんは「滝沢村は今変わるべき」と話す。もっと滝沢村が素晴らしくなるためには、住民の声を女性の目で、耳で、心で届けることが必要。「男性と女性がともに支え合わなければ本当の社会はできない」と訴えた。

  「わたし自身、行政にいたときは女性議員がいてもいいのではという気持ちはあったが、まさか自分のところがやるとは」と元村職員の浩一さんは複雑な気持ちを持っていた。しかし、選挙が告示されると、やるしかないと吹っ切れた妻の姿、日に日に盛り上がる陣営に「女性のパワーはすごい」と圧倒された。

  「子供たちのことを思いながら、仕事をしていく。皆さんのおかげでここまで来れた。皆さんの尊い一票は必ず村政に届ける」。当選の知らせを受け、集まった支持者を前に誓った。支持者一人ひとりと握手をして回る美喜子さんの目にはやる気がみなぎっていた。

  「村議会に女性がいないのはあるべき姿ではない」。澄子さんは美喜子さんとは対照的に告示日まで1カ月を切ってからの出馬表明だった。選挙経験がまったくない陣営は、すべてが手探り状態。選挙戦をともに戦ったのは、家族と県立大学の学生ボランティア。

  長男の征文さん(28)は後援会長とドライバーを務め、時にはウグイス嬢ならぬウグイス青年としても母親を支えた。最初に出馬をしたいと聞いたときは「正直驚いた」というが、「母が新しい一歩を踏み出そうとするなら、わたしが母の役に立たなくては」と後援会長を引き受けた。

     
  「子供と女性が豊かに過ごせる環境」を訴え、初当選した佐藤澄子さん  
 
「子供と女性が豊かに過ごせる環境」を訴え、初当選した佐藤澄子さん
 
  澄子さんにとって議員は10年来、心の中に秘めていたやりたい仕事だった。保育園勤務時代に、子育て支援の重要性を感じた。行政がもっと取り組むべきで保育園とは違う立場で取り組みたいと考えたときに、議員になろうと思った。しかし、仕事との両立や金銭面など予想以上に壁は大きかった。

  再び議員を志したのは、04年から務めたジョブカフェいわてで厳しい就職活動に立ち向かう若者の姿に刺激を受け、「もう一度自分のやりたいことに挑戦してみよう」と思い立ったことだった。

  「言い出したら聞かない性格」と征文さんが話す澄子さん。まったく政治経験はないものの、志は強かった。「何でも経験してみたい」。告示に先立ち行われた事前説明会では、村選管にさまざまなことを尋ねた。告示日当日も自らが届け出に出向いた。

   「子供たちのこれからの時代をもっとよくしたいという声を村政に生かしていきたい」。選挙戦では▽子供と女性が豊かに過ごせる環境づくり▽村政への関心が広がるシステムづくり−を女性の立場から訴えた。

  女性の新しい挑戦は男女共同参画社会を目指す滝沢村にとって、大きな意義があったはず。2人の女性の肩には滝沢の女性の願いが乗っている。女性の目線でこれから村政に新しい風を吹かせてくれることに期待したい。

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