その夜のギターの演奏会は、たそがれどきの空に星が一つまた一つと輝き出すように、静寂の世界の中から始まったのでした。
ギタリストが奏でる音の一粒一粒の、どれもが慈しむようにいのちを与えられ、曲全体が無数の星々からなる銀河のように調和していくのでした。
やがて、演奏者の想いは、聴く者を満天の星空のもとへといざなってくれたのでした。
自分たちが一体どこにいるのか、なぜ存在するのか、そしてどこへ行こうとしているのか−人類は星をみちしるべにして歴史を刻んでいくのでしょう。なぜそれほどに人は星を見つめるのでしょうか。人が星の成分から作られた、いわば星の子だからでしょうか。そんな想いを巡らせるうちに、演奏は佳境へと入っていきます。
レンズの向こうに広がる宇宙では、たくさんの星がささやくように明滅しています。それはまるで演奏者と聴き手の間に通うハーモニーそのものです。そして、ギターの繊細な音色に対して、「音が小さいのではない、遠くで鳴っているのだ」という言葉が捧(ささ)げられるように、星のまたたきははるか遠い宇宙空間を旅してとどいた光です。大気のベールをくぐり抜けながらさまざまな色合いを見せたり、あるいはもともとの衣装を身にまとったままで、その光自体が生きているかのように躍動しまたたくのが星の光です。
星のきらめきとギターの調べ。この二つの小さなものは、出合った者の心の中で増幅し、他のどんな鋭い光や激しい音よりも、豊饒(ほうじょう)な輝きと強い意志と大きな優しさに生まれ変わるのです。
いつしか、私たちは星の光を心で見つめ、ギターが奏でる歌を心で聴いていることに気付かされます。
(盛岡天文同好会会員)
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