2007年 5月 16日 (水) 

       

■  〈紙単のバイク日記〉3 石田義信 先生とは

     
   
     
  自分自身が先生と呼ばれるなどとは夢にも思ってはいなかった…一生涯で自分が一番縁がない職業が先生だと思っていたわけで、先生と呼ばれる自分が最初は正直とても恥ずかしかったのである。

  私が先生と認める人は、学校の教師と病院の医師であり、ちなみに、切り絵だけで先生と呼ばれるのは言葉は悪いが、檀家(だんか)さんが集まった時のことだけであるから、私は週末限定の切り絵講師なのである。

  医薬品会社のプロパー、商社マン、一般住宅の解体業と波乱万丈の私の職歴は、今度は1枚の折り紙がまた違う人生の方向転換をさせてくれたのであった。

  私は自分の才能を突然変異と呼んでいるのだが、切り絵教室で子供たちと接するようにもなれば、変異という才能の片鱗(へんりん)が幼いころのどこかに隠されているような気にもなるときがある。教科書がイタズラ描きでいっぱいになったり、考え事をするときはプラモデルに熱中したりと、徹底的に楽しむということがとても好きな子供であった。

  教師は将来立派な社会人になるための一般常識や学習知識を学ばせる人であり、医師は病気を治す人、そして私は楽しみを与える人なのである。

  「お父さん、笑いなさいよ…」切り絵教室で妻が私の耳元でそう言った。ひげ面オヤジの第一印象は子供たちには威圧感があるらしい。「さあ!それじゃクマちゃんを切ろうか?」私がそう言った瞬間に子供たちは下を向くのである。

  そんなときは、1枚の折り紙から大道芸人のように驚きを目の前で切り出してやるだけでいい。「あ!すごい!」。次の瞬間子供たちの目はキラキラと輝き、私は楽しみを与える先生になっている。

  (切り絵師「紙の単車屋」経営、紫波町犬吠森字間木沢30の26、電話019−672−2543、URL;http://www.kamitan.com)

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